分子標的薬の登場以降、肺がんの薬物療法はⅣ期非小細胞肺がんを中心に目まぐるしく変化しています。『肺癌診療ガイドライン2024年版』に掲載された薬物療法の最新アップデートを取り上げるとともに、海外で発表され注目を集めた臨床試験の日本人サブ解析結果をレポートしました。 限局型SCLCへのデュルバルマブ地固め、日本人でも良好 同時化学放射線療法(cCRT)後に進行しなかった限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)患者に対するデュルバルマブ地固め療法の有効性と安全性を検討した第Ⅲ相臨床試験ADRIATICでは、中間解析において全生存(OS)と無増悪生存(PFS)の有意な改善が示されている。国立がん研究センター東病院呼吸器内科医長の善家義貴氏は第65回日本肺癌学会(10月31日〜11月2日)で、同試験の日本人を対象としたサブグループ解析の結果を報告。... 切除不能Ⅲ期NSCLCへのオシメ、日本人にも奏効 主に上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性Ⅳ期非小細胞肺がん(NSCLC)に対する一次治療で用いられる第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)オシメルチニブについて、日本人のⅢ期切除不能例での有効性が示された。神奈川県立がんセンター呼吸器内科医長の加藤晃史氏は第65回日本肺癌学会(10月31日〜11月2日)で、国際共同第Ⅲ相臨床試験LAURAに参加した日本人患者を対象とする検証結果を発表。全体集団と同様、無増悪生存(PFS)などで良好な結果が示されたと報告した。... 肺がんGL改訂、EGFR変異陽性への選択肢拡大 今年(2024年)10月20日、日本肺癌学会編『肺癌診療ガイドライン2024年版』(以下、2024年版)が1年ぶりに刊行された。第65回日本肺癌学会(10月31日〜11月2日)での岡山大学病院新医療研究開発センター部長・堀田勝幸氏の報告を基に、非小細胞肺がん(NSCLC)の周術期とⅣ期、および小細胞肺がん(SCLC)に対する薬物療法に関する主な改訂点をまとめた。なお、2024年版の全文は日本肺癌学会公式サイトで閲読できる。... 2024年開催学会レポート一覧に戻る