日本人の国民病ともいわれる腰痛。その実態は?超簡便なリスク評価法や、慢性的な痛みに対する治療効果を紹介しています。 腰痛とストレスが最も多い医療職は? 2015年12月に改正労働安全衛生法が施行され、労働者数50人以上の事業所に対し医師や保健師などが心理的な負担などの程度を把握するために毎年1回の「職業性ストレス簡易調査票(ストレスチェック)」実施が義務付けられた。東京科学大学整形外科准教授の平井高志氏は、同大学病院の職員約3,000人を対象に実施したストレスチェックの痛みに関する回答に着目。「医師と比べ、他のメディカルスタッフでは高ストレス者が多く、腰痛有訴率が高い傾向が見られた」と述べ、具体的な職種について第32回日本腰痛学会(2024年10月25~26日)で報告した。... 産後1年以上続く腰痛に理学療法が有効 妊産婦の多くが経験する腰痛に対しては、産後数カ月以内の理学療法や運動療法が有効とされる。しかし、至適開始時期については十分に検討されていない。浜脇整形外科リハビリセンター(広島市)リハビリテーション科主任で理学療法士の松田陽子氏は、産後腰痛患者50例を産後1年未満群と以上群に分けて理学療法の有効性を比較する後ろ向き研究を実施。その結果、「理学療法は産後期間を問わず有効な可能性が示された」と、第32回日本腰痛学会(10月25~26日)で報告した。... たった5mmの身長短縮が腰痛リスクに 主観的な訴えである腰痛を客観的に評価するために、MRIなどを用いて痛みを可視化する研究が行われている。これまで、北里大学整形外科学講師の宮城正行氏は、より簡便な方法として体幹筋量の低下が腰痛と関連することを報告してきた。さらに、「わずか年間5mmの身長短縮で腰痛が悪化することが分かった」と第32回日本腰痛学会(10月25~26日)で発表し、身長短縮を腰痛の新たなバイオマーカーとして使用できる可能性について言及した。... 2024年開催学会レポート一覧に戻る