片頭痛の薬物療法に関しては抗CGRP関連製剤が近年注目されています。第52回日本頭痛学会ではガルカネズマブ、atogepantの国内臨床試験結果、抗CGRP関連製剤で効果不十分な頭痛患者に対する漢方薬の有効性について取り上げた他、頭痛をめぐる医療訴訟についても取材しました。 片頭痛、抗CGRP抗体不応例に漢方薬が有効 片頭痛の薬物療法をめぐっては、近年登場した抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体の高い有効性が注目されている一方、継続が困難な場合の代替薬に関しては一致した見解が得られていない。名古屋大学大学院脳神経外科准教授/ナゴヤガーデンクリニック(名古屋市)頭痛外来の種井隆文氏らは、同クリニックを受診した標準的な薬物療法に不応/不耐容の頭痛患者を対象に、漢方薬の有効性を検討する単施設後ろ向き研究を実施。「標準的な薬物療法では効果が不十分な頭痛例のうち、約6割に漢方薬が有効だった」と第52回日本頭痛学会(12月6~7日)で報告した。... 頭痛をめぐる医療訴訟、きっかけは? 頭痛は一般的な症状の1つだが、診断や治療を契機として医療訴訟に発展し、高額な民事的責任を問われる場合もある。国立精神・神経医療研究センター病院臨床検査部医長/仁邦法律事務所弁護士の大平雅之氏は、頭痛に関連する日本の裁判例から訴訟の契機となった具体例を紹介し、くも膜下出血や髄膜炎が原疾患として多かったことなどを第52回日本頭痛学会(12月6~7日)で報告。裁判例からトラブル発生の予防策を検討することが重要だと強調した。... 片頭痛薬ガルカネズマブ、実臨床でも既存薬に優越 2021年に承認された抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体ガルカネズマブは、片頭痛予防の新たな選択肢として注目されているが、実臨床に関するエビデンスは少ない。仙台頭痛脳神経クリニック(仙台市)院長の松森保彦氏らは第52回日本頭痛学会(12月6〜7日)で、実臨床におけるガルカネズマブの長期の有効性を検討する国際観察研究TRIUMPHの日本における中間解析結果を報告。... 片頭痛への新規CGRP拮抗薬、長期安全性を確認 atogepantは、成人の片頭痛発作に対する予防が期待される経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬で、それぞれ反復性片頭痛(EM)、慢性片頭痛(CM)を対象とした第Ⅲ相試験ADVANCE、PROGRESSにおいて有効性および安全性が示されている。富永病院(大阪市)副院長/同院脳神経内科部長の竹島多賀夫氏は、日本人CMおよびEM患者を対象にatogepantの長期安全性および忍容性を評価した第Ⅲ相3101-306-002試験について第52回日本頭痛学会(12月6~7日)で発表。「良好な結果が得られた」と報告した。... 2024年開催学会レポート一覧に戻る