2025年1月23〜25日に行われた米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025)より、注目演題の要点を速報形式でレポートします。 食道がんへの術前抗PD-1抗体+化学放射線療法で奏効率改善 切除可能な局所進行食道扁平上皮がんに対しては、術前療法として化学療法または化学放射線療法を行うのが標準治療だが、いまだ再発率は高い。今回、術前療法として抗PD-1抗体sintilimab+化学療法、sintilimab+化学放射線療法、化学放射線療法を行う3群で、病理学的完全奏効(pCR)率などを比較した多施設共同第Ⅲ相ランダム化比較試験SCIENCEの予備的解析結果が発表された。... MSI-H/dMMR進行・再発大腸がんへのイピニボ、ニボ単剤に優越 高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する切除不能な進行・再発大腸がんを対象とした第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験CheckMate 8HWについて、全治療ラインにおいてニボルマブ単剤療法と比べニボルマブ+イピリムマブ併用群で無増悪生存(PFS)が有意に改善したと発表された。... HER2陽性胃がんへの周術期ケモ+抗HER2抗体、OS改善せず HER2陽性胃/食道胃接合部がんの周術期療法について、化学療法単独、化学療法+トラスツズマブまたは化学療法+トラスツズマブ+ペルツズマブ群の3群で比較したEORTC-1203 GITC試験(INNOVATION試験)の結果を報告。これまでに化学療法+トラスツズマブによる主要病理学的奏効率(mpRR)の改善が示されており、今回、全生存(OS)と無増悪生存(PFS)の結果が発表された。... 腹膜播種胃がん、腹腔内+全身ケモでOS改善 腹膜播種を有する胃がんの予後は悪く、最適なレジメンは明らかでない。今回、腹膜転移を有する胃がんを対象にパクリタキセル腹腔内投与と全身化学療法(S-1経口投与+パクリタキセル静脈内投与、以下標準治療)の併用による有効性と安全性を検討した第Ⅲ相多施設ランダム化比較試験DRAGON-01の結果が報告された。... 大腸がん右側にアミバンタマブ+ケモが有効 アミバンタマブは、EGFR変異陽性進行非小細胞肺がんにおいて米食品医薬品局(FDA)で承認されたEGFR/MET二重特異性抗体であり、RAS/BRAF野生型mCRCへの抗腫瘍効果が認められている。今回、RAS/BRAF野生型mCRCの右側症例におけるアミバンタマブの単剤療法および化学療法との併用療法の長期追跡データを検討した第Ⅰb/Ⅱ相国際共同盲検OrigAMI-1試験の結果が発表された。... HER2陽性胃がん/食道胃接合部がんにEvorpaceptが有効 EvorpaceptはCD47に高い親和性を有し、トラスツズマブと併用することで抗体依存性細胞貪食活性を高める。EvorpaceptのFc領域は不活性のため、正常細胞への毒性を低減する。... 大腸がん一次治療でエンコラフェニブが有効 BRAF阻害薬エンコラフェニブ+EGFR阻害薬セツキシマブ(EC)は、第Ⅲ相BEACON試験に基づき、治療歴のあるBRAF V600E遺伝子変異を有する進行・再発の結腸・直腸がん(mCRC)の二次治療以降に対して承認された。今回、一次治療としてEC、EC+mFOLFOX6、標準治療〔mFOLFOX6/FOLFOXIRI/CAPOXへのベバシズマブの併用/非併用〕を比較する第Ⅲ相国際共同非盲検ランダム化比較試験BREAKWATERの結果が報告された。... 〔学会印象記〕米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025)消化器注目3演題 今回のASCO-GI 2025でも多くのデータが報告されましたが、その中でも日本の臨床に与えるインパクトを考慮して、がん種別(食道がん、神経内分泌腫瘍、大腸がん)に3演題を取り上げて解説します。 。... 2024年開催学会レポート一覧に戻る