生活習慣病やがんの早期発見のためには"けんしん"(健診・検診)を定期的に受診することが大切です。今回は健診受診者に高頻度で認められる脂肪肝に関する研究の他、"けんしん"をきっかけに早期発見・治療につながった症例報告についても取材しました。 脂肪肝の存在予測に有用な指標とは? 近年、心血管代謝危険因子を診断基準に含む代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)/代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の概念が提唱されたことを受け、脂肪肝診断の重要度が高まっている。健康診断での脂肪肝検査には主に腹部超音波が用いられるが、検査項目に含まれていないことが少なくない。そこで立川中央病院附属健康クリニック(東京都)の吉野薫氏は、肥満との関連が強いウエスト周囲長、BMI、体脂肪率と脂肪肝との関連を検討。・・・ 〔MT Case Reports〕超音波検査で3つ目のがん腫を発見 乳がんは世界的に罹患者数が増加しており、日本人女性で最も多いがん腫だ。近年の診断精度の向上に伴い、片側/両側多発乳がんの検出例が増加傾向にある。日本歯科大学病院外科・乳腺内分泌外科教授/副院長の櫻井健一氏は第53回日本総合健診医学会(1月31日~2月1日)で、任意型検診により同時性両側3多発乳がんを発見した40歳代の女性症例を紹介。マンモグラフィ検査だけでなく、超音波検査の重要性・必要性を訴えた。・・・ 〔MT Case Reports〕健診を機に急性前骨髄球性白血病を早期発見 急性白血病は初発時の白血球数が予後規定因子の1つであるため早期発見・治療が重要となる。東京社会保険協会フィオーレ健診クリニックの橋野史彦氏は第53回日本総合健診医学会(1月31日~2月1日)で、健康診断をきっかけに急性前骨髄球性白血病(APL)と診断され、初回寛解導入療法で分子遺伝学的完全寛解(CR)に至った30歳代男性の症例を紹介。血液疾患の早期発見における健診の重要性を訴えた。・・・ SGLT2阻害薬の効果予測に有用な肝機能指標は? 糖尿病患者では、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の合併率が65.0%と高いものの、適切なスクリーニングや専門医への紹介がなされておらず問題視されている。他方、MASLD合併2型糖尿病患者において、HbA1cが上昇するほど肝線維化が進展すること、肝関連イベントが増加することが報告されている。労働者健康安全機構大阪労災病院(堺市)消化器内科副部長の倉橋知英氏は、糖尿病患者における肝疾患スクリーニングの実態および糖尿病合併脂肪性肝疾患(SLD)症例におけるSGLT2阻害薬の効果予測因子を検討。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る