日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)は2012年に刊行されて以来、4年ごとに改訂されおり、第4版となる『J-SSCG2024』が昨年(2024年)12月に刊行されました。"診療現場での活躍"を目指した改訂により、クリニカルクエスチョン(CQ)の数は前回の125から78に厳選されたとのこと。今回はJ-SSCG2024の主な改訂ポイントの解説に加え、『重症患者の栄養療法ガイドライン2024』についても取材しました。 日本版重症患者の栄養療法GLが8年ぶりに改訂 2016年に国内で初めて刊行された、重症患者を対象とした栄養療法ガイドライン(GL)が『日本版重症患者の栄養療法GL2024』(GL2024)として8年ぶりに改訂される。今回は①栄養療法の一般的戦略、②栄養療法における特定の栄養素、③栄養モニタリングと特定の病態、④小児の栄養療法-の4グループに分けてクリニカルクエスチョン(CQ)を検討。基本事項が含まれる①栄養療法の一般的戦略の主な変更点について、神戸市立医療センター中央市民病院麻酔科医長の東別府直紀氏が第52回日本集中治療医学会(3月14~16日)で解説した。・・・ 敗血症診療GL、DIC診断と治療の改訂点 『日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2024』で新たに導入されたフューチャーリサーチクエスチョン(FRQ)は、確実性の高いエビデンスに基づく推奨作成が困難な領域に対し、現時点でのエビデンスと今後の展望に関する情報提供を行うものである。佐賀大学救急医学講座准教授/同大学病院高度救命救急副センター長の小網博之氏は、第52回日本集中治療医学会(3月14~16日)で、クリニカルクエスチョン(CQ)5「播種性血管内凝固症候群(DIC)診断と治療」について、今回盛り込まれた2つのFRQを中心に解説した。・・・ 診断基準が大きく変化した小児敗血症 近年の小児敗血症診療における最大のトピックは、Phoenix Sepsis Score(PSS)の登場による診断基準の変更である。これまで「感染症に惹起された全身性炎症反応症候群(SIRS)」と定義されていた小児敗血症が、「感染症が疑われPSSで2点以上を示したもの」に改定された。順天堂大学浦安病院救急診療科・こども救急センター准教授の石原唯史氏は、第52回日本集中治療医学会(3月14~16日)で『日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2024』における小児領域の変更点について、小児敗血症の新たな判断基準となるPSSを中心に解説した。・・・ 苦しむ重症患者家族のためにできることとは 集中治療後症候群(post intensive care syndrome;PICS)は、集中治療室(ICU)退室後、さらには退院後に生じる身体機能・認知機能・精神の障害で、長期予後に影響を及ぼすだけでなく、患者の家族にも精神の障害が現れることがある(post intensive care syndrome-family;PICS-F)。こうした課題に対し、『日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2020』(前回版)では「クリニカルクエスチョン(CQ)20:Patient and Family-centered care」において、世界に先んじて家族のケアにまで踏み込んだ推奨を行った。昨年(2024年)12月に改訂されたJ-SSCG2024では「家族ケア」と名称変更し、5つのCQを取り上げた。広島大学救急集中治療医学/同大学病院高度救命救急センター講師の太田浩平氏は、第52回日本集中治療医学会(3月14~16日)でCQ8「家族ケア」の改訂ポイントについて解説した。・・・ 日本版敗血症診療GL、急性血液浄化の改訂点 昨年(2024年)12月に刊行された『日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2024』では、J-SSCG2020(前回版)の「急性腎障害・血液浄化療法」の領域が血液浄化療法に絞った「CQ4:急性血液浄化」に変更され、クリニカルクエスチョン(CQ)も7つから4つへと絞り込まれた。より実用性が重視された今回の改訂ポイントについて、旭川医科大学救急医学講座准教授/同大学病院救命救急センター副センター長の丹保亜希仁氏が、第52回日本集中治療医学会(3月14~16日)で解説した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る