2因子で予測!フマル酸ジメチルの至適投与例 多発性硬化症(MS)の再発予防における第一選択薬フマル酸ジメチル(DMF)は、長期の有効性および安全性が確認されている。一方、薬剤選択に際し重要となるDMFの至適患者像に一貫した見解は得られておらず、実臨床で簡便に活用できる指標も明らかでない。九州大学大学院神経内科学教室/浜の町病院(福岡県)脳神経内科の田中栄蔵氏らは、DMFの治療反応性に関連する因子の同定を目的に日本人MS患者を対象とした単施設後ろ向き研究を実施。結果を第66回日本神経学会(5月21~24日)で報告した。・・・ ロザノリキシズマブ、自己皮下注でも好結果 抗FcRnモノクローナル抗体製剤ロザノリキシズマブは、ステロイド/その他の免疫抑制薬で効果不十分の全身型重症筋無力症患者に用いる皮下注製剤である。同薬はアジア、欧州、北米の81施設で行われた第Ⅲ相試験MycarinGにおいて良好な結果が報告されている一方、今年4月から可能となった在宅自己皮下注での治療成績に関してはエビデンスが少ない。国立病院機構仙台医療センター脳神経内科の渡辺源也氏らは、ロザノリキシズマブ自己皮下注の有効性および安全性を検討する第Ⅲ相非盲検ランダム化クロスオーバー試験を実施。結果を第66回日本神経学会(5月21~24日)で報告した。・・・ 30年以上経過の脊髄性筋萎縮症、治療薬の効果は 脊髄性筋萎縮症(SMA)は脊髄前角細胞の変性に伴う全身の運動機能障害を特徴とする遺伝性疾患で、体幹四肢の筋力低下と筋萎縮を来し、脊柱変形を呈することが多い。アンチセンス核酸医薬品ヌシネルセンは、乳幼児や運動機能がある程度保たれている成人SMA患者への投与により症状改善が期待され、進行例においても主観的な症状改善が得られることが報告されている。市立東大阪医療センター脳神経内科の竹中乃由利氏らは、発症後30年以上経過したSMA患者に対して3年間同薬を投与した結果を、第66回日本神経学会(5月21~24日)で報告した。・・・ 実臨床でのトフェルセン、その効果は? 筋萎縮性側索硬化症(ALS)には、治療薬としてリルゾール、エダラボン、メコバラミンが使用されているものの確立された根治治療は存在しない。そうした中、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)1遺伝子変異を有する成人ALS(SOD1-ALS)に対する治療薬として、トフェルセンが昨年(2024年)12月に承認された。大阪大学大学院神経内科学教室の永島希氏は、実臨床下におけるトフェルセンの治療効果を検討し、その結果を第66回日本神経学会(5月21~24日)で報告した。・・・ サトラリズマブ、投与間隔延長による再発抑制は 現在、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の治療には、サトラリズマブをはじめ5種類の生物学的製剤が使用可能となっており、高い有効性が示されている。そうした中、実臨床において個々の患者の状態に応じた生物学的製剤の使い分けや変更・中止などの判断も必要となってきている。九州大学大学院神経内科学教室診療准教授の眞﨑勝久氏らは、サトラリズマブの投与間隔延長に至ったNMOSD患者11例の臨床的特徴を後ろ向きに検討。結果を第66回日本神経学会(5月21~24日)で報告した。・・・ CIDPへのエフガルチギモド、東アジア人でも有効 慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は、四肢の筋力低下や痺れ感を伴う進行性・再発性の自己免疫疾患である。抗胎児性Fc受容体(FcRn)抗体フラグメント・ヒアルロン酸分解酵素配合製剤エフガルチギモド アルファ・ボルヒアルロニターゼ アルファ皮下注製剤(以下、エフガルチギモド皮下注)は、成人CIDP患者を対象とした国際共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験ADHEREにおいて有効性と安全性が示されている。千葉大学大学院脳神経内科学教授の桑原聡氏らは、ADHERE試験の東アジア人サブグループ解析を実施。東アジア人においても良好な結果が認められたと、第66回日本神経学会(5月21~24日)で報告した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る