関節炎・付着部炎が特徴の乾癬性関節炎 乾癬性関節炎(PsA)は、乾癬に合併し関節や腱と骨の付着部に炎症を来す疾患で、日本人では乾癬患者の10~15%に発症するといわれており、骨変形を生じるケースもある。福岡大学皮膚科学教室教授の今福信一氏は、皮膚科医の立場から、乾癬の免疫学的病態や乾癬とPsAの患者集団の違い、PsA治療の現状などについて、第124回日本皮膚科学会(5月29日〜6月1日)で解説した。骨変形に関してはリウマチ科の医師と詳細な検討をすべきだという。・・・ 教育制度の充実で「品位ある」美容医療の実現 近年、若手医師を中心に美容医療への関心が急速に高まりつつあるが、教育体制や診療の質の担保など多くの課題が顕在化してきている。第124回日本皮膚科学会(5月29日〜6月1日)で順天堂大学浦安病院皮膚科教授の須賀康氏は、美容皮膚科をはじめとする日本の美容医療における教育体制の未整備に対し警鐘を鳴らし、その解決および品位ある美容医療の実現に向けた糸口として、教育制度の拡充、専門医制度の活用、診療指針の策定、継続医学教育(CME)の推進の4つを提唱した。・・・ 全身療法の適応で変化する小児ADの治療戦略 近年、小児領域においても外用療法で対応困難なアトピー性皮膚炎(AD)に対して、生物学的製剤やJAK阻害薬による全身療法が広がりつつある。2020年以降、小児に適応を持つ薬剤が相次いで登場し、奏効が得られるケースが少なくない。しかし、新規薬剤には使用上の注意点や副作用も多く、導入には慎重な対応が求められている。埼玉県立小児医療センター皮膚科科長の玉城善史郎氏は小児ADにおける全身療法の現状と課題を、自身の使用経験に基づいて解説した。・・・ 原因不明の蕁麻疹、デュピルマブへのスイッチに手応え 日本大学皮膚科学分野の伊東真奈氏は、抗IgE抗体オマリズマブ無効の慢性特発性蕁麻疹患者を対象に、抗IL-4/13受容体モノクローナル抗体デュピルマブへのスイッチの有効性について検討し、第124回日本皮膚科学会(5月29日~6月1日)で結果を報告。「オマリズマブ無効の慢性特発性蕁麻疹患者において、デュピルマブの有効性が示唆された。ただし、効果の持続性には症例によるばらつきが見られた」と述べた。・・・ 日本の美容医療、何が問題で何が必要か 近年、美容医療は大きな進展を遂げている。皮膚科においては、2008年に「美容皮膚科」の標榜が認められ、美容医療を取り入れるクリニックが増えている。和歌山県立医科大学病院教授・皮膚科准教授の山本有紀氏は第124回日本皮膚科学会(5月29日~6月1日)で、日本における美容医療の現状と課題について皮膚科医の視点で概説した。・・・ 最新『メラノーマ診療ガイドライン2025』を解説 今年(2025年)1月に『皮膚がん診療ガイドライン第4版メラノーマ診療ガイドライン2025』が更新された。皮膚がん診療ガイドライン策定委員会(メラノーマ診療ガイドライングループ)の代表委員で熊本大学大学院皮膚病態治療再建学講座教授の福島聡氏は、第124回日本皮膚科学会(5月29日~6月1日)でガイドライン改訂の目的や改訂ポイントについて解説。「今回、東アジアの独自性をより反映したガイドライン策定を目指した」と述べた。・・・ 仮想問題で理解が深まる!遺伝性皮膚疾患入門 ある年度の皮膚科専門医認定試験では、遺伝学や遺伝性皮膚疾患に関する設問が全体の約15%を占めた。専門医を目指す若手医師にとっても、こうした分野の理解は決して他人事ではない。名古屋大学大学院皮膚科学准教授の武市拓也氏は、第124回日本皮膚科学会(5月29日〜6月1日)で仮想問題を交えながら遺伝性皮膚疾患の基本的な知識を解説。後半では遺伝性角化症に焦点を当て、ダリエー病、道化師様魚鱗癬、Peeling skin syndrome(PSS)、Netherton症候群について原因遺伝子と臨床的特徴を紹介した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る