口腔内メラノーシスが頭頸部がんに関連か 口腔内メラノーシス(OM)は基底層を中心としたメラニン顆粒の増加に伴い粘膜が褐色~黒色調の色素斑として観察される病態である。OMは頭頸部がんおよび食道がんの危険因子とされるが、内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行した表在性食道扁平がん(SESCC)患者におけるOMの意義をめぐってはいまだエビデンスが少ない。鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学の上原翔平氏および同講師/診療准教授の佐々木文郷氏らの研究グループは、ESDを施行したSESCC患者を対象にOMの臨床的意義を後ろ向きに検討した結果、「ESD施行SESCC患者において、OMを有する例では頭頸部がんの合併頻度が有意に高く、関連性が示唆された」と第79回日本食道学会(6月26~27日)で報告した。・・・ 下咽頭表在がんの経口的切除法、各々の特徴 下咽頭表在がんの経口的切除は、近年の治療法の進歩に伴い、頭頸部外科医だけでなく消化器内科医が施行する機会も増えつつある。一方、両者の治療法の違いが予後に与える影響に関してはいまだエビデンスが少ない。鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学講師/診療准教授の佐々木文郷氏らは、鹿児島大学病院の下咽頭表在がん患者を対象に内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)、内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)、Transoral Endoscopic Cooperative Surgery(TOECS)の短期治療成績を比較する後ろ向き研究を実施。「消化器内科の内視鏡医によるESDは全周切開の正確性が高く、頭頸部外科医によるELPSは剝離深度が深かった。治療成績の向上には両者の協働が求められる」などの解析結果を第79回日本食道学会(6月26~27日)で報告した。・・・ 切除不能食道がん、DpR 40%以上で予後良好 切除不能進行再発食道がんの治療では、KEYNOTE-590試験、CheckMate-648試験の結果を受けてがん免疫療法が広まりつつあるが、予後予測などに関するエビデンスはいまだ十分でない。がん・感染症センター都立駒込病院外科(食道)の藤原直人氏らは、自施設の切除不能進行再発食道がん患者を対象にがん免疫療法の治療戦略を検討する単施設後ろ向き研究を実施。「フルオロウラシル+シスプラチン+免疫チェックポイント阻害薬(ICI併用療法施行例において、腫瘍縮小率(DpR)40%以上は予後良好と関連を示し、腫瘍の寛解状態への移行可能性を高めると考えられた。イピリムマブ+ニボルマブ併用療法施行例では、肺転移がない集団と比べ、ある集団で無増悪生存が有意に良好だった」などの解析結果を第79回日本食道学会(6月26~27日)報告した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る