高コレステロール血症の治療において、スタチン不耐の克服が課題となっています。スタチン不耐例に対する薬物療法として、PCSK9阻害薬のエボロクマブとインクリシラン、新機序薬のベムペド酸に関する演題を取材し、最新の知見をお届けします。 LDL-C管理にインクリシランが新たな選択肢 PCSK9 mRNAを標的とする低分子干渉リボ核酸(siRNA)治療薬のインクリシランは、家族性高コレステロール血症(FH)、高コレステロール血症を適応として2023年9月に承認された。同薬の登場によりLDLコレステロール(LDL-C)管理におけるPCSK9阻害薬の治療選択肢が広がった。石川県立中央病院遺伝診療科科長の野原淳氏は、同薬の特徴およびエボロクマブを含むPCSK9阻害薬の適正使用について第57回日本動脈硬化学会(7月5~6日)で解説した。・・・ ベムペド酸がスタチン不耐克服に有望 スタチン効果不十分/スタチン不耐の高コレステロール血症に対する新機序薬として、ベムペド酸が注目されている。同薬は肝臓中のクエン酸分解酵素であるATPクエン酸リアーゼに作用し、コレステロール合成経路を阻害する経口薬で、近日中の承認が見込まれる。りんくう総合医療センター(大阪府)理事長の山下静也氏は、主にスタチン不耐例に対する同薬の有用性について第57回日本動脈硬化学会(7月5~6日)で解説した。・・・ スタチン不耐へのPCSK9阻害薬の有用性を解説 スタチンは動脈硬化性心血管疾患の予防に有効な半面、筋症状や肝障害などの有害事象により投与継続が困難な不耐例への対応が課題である。第57回日本動脈硬化学会(7月5~6日)では「スタチン不耐のアップデート:新規薬物療法の実際と病態解明へのアプローチ」と題するシンポジウムを設定。昭和医科大学内科学講座循環器内科学部門教授の木庭新治氏が、スタチン不耐例に推奨されるPCSK9阻害薬エボロクマブなどの臨床試験の結果を紹介し、有用性について解説した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る