うつ病は生涯有病率が10%前後と報告される一般的な疾患です。また、双極症はうつ状態から発症することが多く、うつ病の中には潜在的な双極症が含まれているともいわれています。今回は、うつ病診療の柱であり公開目前の『うつ病診療ガイドライン』、認知行動療法のスキル別効果、双極症の薬物治療で注意すべきリチウム中毒に関する演題を取り上げます。 治療濃度内でも危険!リチウム中毒 双極症の薬物治療において、リチウム濃度が中毒閾値に達するとさまざまな中毒症状を呈するが、治療濃度の範囲内でも生じうる。大分大学精神神経医学講座特任教授の寺尾岳氏は第22回日本うつ病学会(7月11~12日)で、リチウム中毒を来した自験例や文献を提示し、対応や回避するための注意点などを示した。・・・ スマホアプリ、効果量は抗うつ薬と同等以上 うつ病の治療における認知行動療法(CBT)全体の有効性は示されているが、数あるCBTスキルのうちどのスキルが最も有効かは明らかでない。京都大学成長戦略本部特定教授の古川壽亮氏らは、代表的な5つのCBTスキルを実装したスマートフォンアプリを開発し、ランダム化比較試験(RCT)で各スキルの有効性を対照群と比較検討。その結果、「全てのスキルが対照群よりも有意に優れ、抗うつ薬と同等以上の効果量を示した」と第22回日本うつ病学会(7月11~12日)で報告した。・・・ 作業大詰め!『うつ病診療ガイドライン2025』 今年(2025年)公表予定の『うつ病診療ガイドライン2025』(2025年版)は、完成に向けた作業が大詰めを迎えている。うつ病ガイドライン大改訂作成ワーキンググループで実務的な統括を務める関西医科大学精神神経科学講座主任教授の加藤正樹氏は、第22回日本うつ病学会(7月11~12日)で、改訂の経緯、従来版との違いや2025年版に込めた思いを概説した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る