医師の働き方改革において、外科医の時間外労働削減は大きな課題の1つだ。第80回日本消化器外科学会では、臨床工学技士をスコピストに起用した手術の効率化、勤怠管理システム導入や休日勤務体制の見直しによる労働時間削減、急性虫垂炎に対する非手術療法の導入による夜間手術削減の取り組みなど多様な実践が報告された。安全性を確保しつつ医師の負担を軽減し、地域医療を持続させるさまざまな工夫について紹介する。 臨床工学技士との協働で胆摘術の円滑化図れ 地域中核病院などでは、消化器外科が専門領域以外の救急診療を担うケースが多く、近年の全国的な消化器外科医の不足は地域医療を維持する上で課題となっている。中津市立中津市民病院(大分県)院長の折田博之氏らは、自施設における消化器外科医の労働実態調査に基づき働き方改革を実施。その結果、「情報共有ツール活用による引き継ぎの円滑化、休日/夜間救急の在り方の見直しなどにより、1カ月当たりの時間外労働の平均値を70時間超から約50時間まで減少できた。地域医療を維持する上で、医師に魅力のある病院づくりに取り組むことは不可欠である」と第80回日本消化器外科学会(7月16~18日)で報告した。・・・ 外科医に魅力ある病院づくりで地域医療守れ 地域中核病院などでは、消化器外科が専門領域以外の救急診療を担うケースが多く、近年の全国的な消化器外科医の不足は地域医療を維持する上で課題となっている。中津市立中津市民病院(大分県)院長の折田博之氏らは、自施設における消化器外科医の労働実態調査に基づき働き方改革を実施。その結果、「情報共有ツール活用による引き継ぎの円滑化、休日/夜間救急の在り方の見直しなどにより、1カ月当たりの時間外労働の平均値を70時間超から約50時間まで減少できた。地域医療を維持する上で、医師に魅力のある病院づくりに取り組むことは不可欠である」と第80回日本消化器外科学会(7月16~18日)で報告した。・・・ 非手術療法で若手外科医の時間外労働減らせ 昨年(2024年)4月に施行された「医師の働き方改革」の下、全国の医療機関では時間外労働の上限規制への対応など労働条件の改善が図られている。外科においては、労働時間に占める緊急手術の割合はコントロールが難しく、有効な対策が求められている。広島市立広島市民病院外科(当時)/庄原赤十字病院外科の上原綾音氏らは、外科医の時間外労働減少を目的とした急性虫垂炎(AA)患者に対する非手術療法を主軸とする管理(non-operative management、NOM)の有効性と安全性を後ろ向きに検討。「NOMは夜間の緊急手術件数を減らし、安全性を維持しつつ外科医の時間外労働を有意に減少させた」との結果を第80回日本消化器外科学会(7月16~18日)で報告した。・・・ 〔大会長に聞く〕多様な消化器外科医が集結、知見の「創発」に期待 7月16〜18日の日程で第80回日本消化器外科学会総会が開催される(会場:神戸コンベンションセンター)。今年のテーマは、「創発」。総会会長を務める神戸大学大学院外科学講座食道胃腸外科学分野教授の掛地吉弘氏は「多くの参加者が現地に集い、新たな知見を"創発"してほしい」と話す。掛地氏と、参加を予定している東邦大学名誉教授の島田英昭氏に見どころを聞いた。(取材日:2025年3月28日)・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る