転倒の予防には敏捷性運動が不可欠! 高齢者の骨折は、日常生活動作(ADL)やQOLを著しく低下させ、要介護状態につながるため、骨粗鬆症の予防や治療と並行して転倒予防が重要となる。他方、転倒予防には筋力強化だけでなく、バランスを崩した際に素早く足を踏み出す敏捷性が重要であることが分かっている。桂ガーデン整形外科(仙台市)リハビリテーション科の西條昌紀氏らは、地域在住高齢者に対する敏捷性運動が転倒予防に与える影響を検討。筋力強化(筋肉トレーニング)だけでは十分な転倒低減は得られず、敏捷性運動が不可欠であると第27回日本骨粗鬆症学会(9月12~14日)で発表した。・・・ 低用量ステロイドでも男女とも骨折リスク増 厚生労働省が提供する匿名医療保険等関連情報データベース(National Database of Health Insurance Claims;NDB)は、実際に行われているほぼ全ての医療を把握できるリアルワールドデータとして期待されている。関西医科大学衛生・公衆衛生学講座客員教授の伊木雅之氏ら骨粗鬆症診療に関するNDB研究グループは、低用量グルココルチコイド(GC)投与による骨折リスクをNDBを用いて検討。投与3カ月時点で骨折リスクが女性で47%、男性では36%上昇したことをOsteoporos Int(2024; 35: 805-818)に報告した。同氏は、第27回日本骨粗鬆症学会(9月12~14日)で「NDBを活用することで骨粗鬆症の診療実態を把握できる」と述べた。・・・ 二次性骨折リスク、早期の治療・継続で低減 社会に多大な影響を及ぼす骨粗鬆症性骨折は増加傾向にある。しかし、後期高齢者における骨粗鬆症治療の有用性および、骨折後の早期治療開始による二次性骨折予防効果に関するエビデンスは十分でない。産業医科大学整形外科講師の塚本学氏らは、骨折後早期に骨粗鬆症治療を開始した75歳以上の高齢者では、治療継続期間が長いほど二次性骨折リスクの低下が男女とも顕著だったとするJ-BOLD studyの結果をOsteoporos Int(2025年9月4日オンライン版)に報告。同氏は、第27回日本骨粗鬆症学会(9月12~14日)で「骨折後の早期介入と治療継続の重要性を強調したい」と述べた。・・・ リウマチ患者の骨脆弱性への対応、いまだ不十分 関節リウマチ(RA)患者は骨折リスクが高いことが知られ、骨粗鬆症治療や転倒予防などの介入が重要となる。東京女子医科大学膠原病リウマチ内科学分野/若林医院(東京都)院長の古谷武文氏は、長期間にわたるRA患者の追跡調査「IORRAコホート」の最新データを第27回日本骨粗鬆症学会(9月12~14日)で発表。「生物学的製剤やJAK阻害薬の登場により、RAの疾患活動性は大幅に改善したが、骨折発生率はこの13年間で減少しておらず、むしろ増加傾向にあった」と指摘。骨脆弱性への対応が見過ごされている現状に対して警鐘を鳴らした。・・・ 日本人の骨関節、「若返り」が明らかに 東京大学整形外科学の種子島岳氏らは、変形性膝関節症(膝OA)の有病率を10年間にわたり追跡した大規模住民コホートROAD studyの結果を第27回日本骨粗鬆症学会(9月12~14日)で発表。「2005~15年の膝OAの有病率は減少傾向にあり、骨粗鬆症や変形性股関節症(股関節OA)の結果と合わせると、日本人の骨関節は若返っていることが示唆される」と述べた。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る