DUR+TRE術後療法で腎細胞がんの3年DFS延長 腎細胞がん(RCC)の5年生存率はⅠ期で95%以上、Ⅱ期で75~95%と予後が良好な一方、術後早期の再発・転移リスクの高さが課題となっている。英・Royal Marsden HospitalのJames Larkin氏らは腎摘出後のRCC患者を対象に、術後療法としての①積極監視療法、②PD-L1阻害薬デュルバルマブ単独療法、③デュルバルマブ+CTLA-4阻害薬トレメリムマブ(DUR+TRE)併用療法-を比較する第Ⅲ相ランダム化比較試験RAMPARTの初の中間解析を実施。積極監視療法群と比べ、DUR+TRE併用療法群で3年DFSの有意な延長が認められたと欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025、10月17~21日)で報告した。 チスレリズマブ併用で食道がんの転帰改善 切除不能・局所進行の食道扁平上皮がん(ESCC)における一次治療の標準療法は同時化学放射線療法(CCRT)だが、近年では同療法と免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の併用による転帰改善が報告されており、新たな選択肢として注目が集まっている。中国・Sun Yat-Sen University Cancer CenterのMian Xi氏らは、切除不能・局所進行ESCC患者を対象に抗PD-1抗体チスレリズマブ併用の有効性と安全性を評価する第Ⅱ相多施設並行群間ランダム化比較試験EC-CRT-002を実施。「導入化学療法およびCCRTへのチスレリズマブ短期併用投与により、PFS、OSの有意な改善が認められた」と欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025、10月17~21日)で報告した。 進行尿路上皮がん、維持療法前の化学療法は短縮可 進行・転移性尿路上皮がん(mUC)の治療では、プラチナベースの化学療法(PBC)を6サイクル施行後にPD-L1阻害薬アベルマブによる維持療法を行うレジメンが一般的に用いられている。スペイン・MD Anderson Cancer Center MadridのEnrique Grande氏らはアベルマブ導入前のPBCを短縮することで、有効性を維持しつつ忍容性やQOLを改善できるかを検討する第Ⅱ相ランダム化比較試験DISCUSを実施。その結果、PBCを6サイクル施行する6C群と3サイクル施行する3C群で奏効率(ORR)や無増悪生存(PFS)に差はなく、3C群では統計学的かつ臨床的に有意なQOLの改善が認められたと欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025、10月17~21日)で報告した。 エンザルタミド併用で前立腺がんの8年OSが延長 前立腺がん治療において、根治的療法施行後10年以内に前立腺特異抗原(PSA)上昇に基づく生化学的再発(BCR)を呈する患者の割合は2~5割と高く、合併症発症/死亡リスクが高い。アンドロゲン受容体拮抗薬エンザルタミドは国際第Ⅲ相ランダム化比較試験EMBARKにおいて、主要評価項目とした無転移生存(MFS)がリュープロレリン単独群に比べエンザルタミド+リュープロレリン併用群(ENZA併用群)およびエンザルタミド単独群(ENZA単独群)で優越したと報告されており(N Engl J Med 2023; 389: 1453-1465)、全生存(OS)改善への関心が高まっている。米・Samuel Oschin Comprehensive Cancer Institute/Durham VA Medical CenterのStephen J. Freedland氏らは欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025、10月17~21日)で、同試験の最終結果について「リュープロレリン単独群と比べ、ENZA併用群は8年OSの有意な改善を示した」と発表した。 次世代SERDがER陽性HER2陰性進行乳がんに奏効 エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性の進行乳がんの治療では、一次治療であるCDK4/6阻害薬+内分泌療法(ET)施行後の病勢進行例への選択肢が限られている。米・Dana-Farber Cancer InstituteのErica L. Mayer氏らは、CDK4/6阻害薬の治療歴があるER陽性HER2陰性進行乳がん患者を対象に次世代経口選択的ER分解薬(SERD)giredestrant+mTOR阻害薬エベロリムス併用療法の有効性と安全性を検討する第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験evERA BCを実施。その結果、ET+エベロリムス併用の対照群と比べ、giredestrant併用群はESR1変異陽性集団、ITT集団のいずれにおいてもINV-PFSが有意に良好だったと欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025、10月17~21日)で報告した。 2025年開催学会レポート一覧に戻る