日本臨床眼科学会は、日本眼科学会と日本眼科医会が共催する学術集会で、臨床現場に直結する最新情報を共有する場です。今回の取材では、新薬の登場で注目度が高まる萎縮型加齢黄斑変性、約75%が眼症状で発症するとされる重症筋無力症に関する発表の他、「緑内障患者の眼内レンズ選択」、「エピナスチン眼瞼クリームの結膜増殖性病変に対する有効性を示した4例」など、明日からの臨床に役立つ演題をピックアップしました。。 日本人における萎縮型加齢黄斑変性の特徴とは 加齢黄斑変性(AMD)は萎縮型と新生血管型に分類され、それぞれ有病率や臨床的特徴に人種差があることが知られている。アジアでも地域により差があり、日本では萎縮型AMDの頻度が低く知見が限られているが、人口増加と高齢化を背景に今後は日本を含むアジアでAMD患者の急激な増加が見込まれている。さらに、新たな治療薬が国内で承認されたこともあり、萎縮型AMDに対する関心が高まっている。京都大学大学院眼科学教室の上田奈央子氏は第79回日本臨床眼科学会(10月9~12日)で、自身らが実施した日本人萎縮型AMD対象の多施設後ろ向き観察研究(Ophthalmol Retina 2023; 7: 901-909、Ophthalmol Sci 2024; 4: 100528)などを紹介しつつ、臨床的特徴などを解説した。・・・ エピナスチンクリームが奏効した重症型アレルギー性結膜炎4例 エピナスチン眼瞼クリームは、アレルギー性結膜炎(AC)における痒み症状の抑制に有用であることが知られている。他方、春季カタル(VKC)や巨大乳頭結膜炎(GPC)などの結膜乳頭増殖性変化を伴う重症型ACに対する有効性は明らかでない。中之島アイセンター(大阪市)医長の橋田徳康氏は、第79回日本臨床眼科学会(10月9~12日)で、VKCおよびGPCに対しエピナスチンクリームが奏効した8歳・9歳女児、40歳代・50歳代男性の4症例を紹介した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る