日本臨床眼科学会は、日本眼科学会と日本眼科医会が共催する学術集会で、臨床現場に直結する最新情報を共有する場です。今回の取材では、新薬の登場で注目度が高まる萎縮型加齢黄斑変性、約75%が眼症状で発症するとされる重症筋無力症に関する発表の他、「緑内障患者の眼内レンズ選択」、「エピナスチン眼瞼クリームの結膜増殖性病変に対する有効性を示した4例」など、明日からの臨床に役立つ演題をピックアップしました。。 重症筋無力症に対して眼科医がすべきこと 重症筋無力症(MG)は症状分布により眼筋型と全身型に大別されるが、いずれも初期症状は眼症状の頻度が高いため、初発例が最初に眼科を受診するケースが少なくない。他方、2022年に改訂された『重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022』(以下、2022年版GL)では、眼筋型MG治療におけるステロイドの扱いが従来から大きく変化した。北里大学眼科学教室診療講師の龍井苑子氏は、第79回日本臨床眼科学会(10月9~12日)で、眼筋型MGを見逃さないための診断ポイントおよび最新の治療戦略について発表した。・・・ どうする?緑内障患者への眼内レンズ選択 緑内障は、白内障の併存疾患として最も頻度が高い。そのため、白内障手術における眼内レンズ(IOL)の選択に際しては、緑内障の重症度や術後の視機能への影響を考慮する必要がある。近年では、乱視矯正(トーリック)や多焦点、焦点深度拡張型(EDOF)など付加機能のあるプレミアムIOLが登場しており、緑内障患者への選択をめぐっては議論がある。東京歯科大学水道橋病院眼科科長・准教授の太田友香氏は第79回日本臨床眼科学会(10月9~12日)で、自験例を交え緑内障眼に対するIOL選択について発表した。・・・ 日本人における萎縮型加齢黄斑変性の特徴とは 加齢黄斑変性(AMD)は萎縮型と新生血管型に分類され、それぞれ有病率や臨床的特徴に人種差があることが知られている。アジアでも地域により差があり、日本では萎縮型AMDの頻度が低く知見が限られているが、人口増加と高齢化を背景に今後は日本を含むアジアでAMD患者の急激な増加が見込まれている。さらに、新たな治療薬が国内で承認されたこともあり、萎縮型AMDに対する関心が高まっている。京都大学大学院眼科学教室の上田奈央子氏は第79回日本臨床眼科学会(10月9~12日)で、自身らが実施した日本人萎縮型AMD対象の多施設後ろ向き観察研究(Ophthalmol Retina 2023; 7: 901-909、Ophthalmol Sci 2024; 4: 100528)などを紹介しつつ、臨床的特徴などを解説した。・・・ エピナスチンクリームが奏効した重症型アレルギー性結膜炎4例 エピナスチン眼瞼クリームは、アレルギー性結膜炎(AC)における痒み症状の抑制に有用であることが知られている。他方、春季カタル(VKC)や巨大乳頭結膜炎(GPC)などの結膜乳頭増殖性変化を伴う重症型ACに対する有効性は明らかでない。中之島アイセンター(大阪市)医長の橋田徳康氏は、第79回日本臨床眼科学会(10月9~12日)で、VKCおよびGPCに対しエピナスチンクリームが奏効した8歳・9歳女児、40歳代・50歳代男性の4症例を紹介した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る