ドクターズアイ 島田英昭(消化器)

未治療進行胃がんに対するSP療法の位置付けは変わるか?

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研究の背景:4通りの変更パターンがあり、同等の治療効果が報告

 日本胃癌学会の『胃癌治療ガイドライン(第5版)』においては、HER2陰性進行再発胃がんに対する一次化学療法として、S1+シスプラチン(CDDP)の2剤併用療法(SP療法)が標準とされている。この標準レジメンにおいて、CDDP+「S-1 vs. カペシタビン」(XParTS Ⅱ試験)、S-1+「CDDP vs. オキサリプラチン」(G-SOX試験)という4通りの変更パターンがあり、おおむね同等の治療効果が報告されている。

 現時点では、CDDPの有害事象を避けるためにオキサリプラチンを好む医師が多いように思われる。一方、「S-1かカペシタビンか」については、まだ流動的な印象である。そうした中で2020年8月、過去の臨床試験データを基にデザインされた臨床試験として、3件の臨床試験結果が報告された。①S1+ドセタキセル②S-1+オキサリプラチン③カペシタビン+CDDP-の比較試験である。これら3通りのレジメンの成績を紹介し、今後のSP療法の位置付けについて考察する。

 なお、本稿では便宜上、レジメンの略称は、S1+CDDP:SP、S-1+オキサリプラチン:SOX、S-1+ドセタキセル:SD、カペシタビン+CDDP:XP、カペシタビン+オキサリプラチン:XELOXとした。

島田 英昭(しまだ ひであき)

東邦大学大学院消化器外科学・臨床腫瘍学教授、同大学医療センター大森病院がんセンター長。

1984年千葉大学医学部卒業、1991年同大学大学院医学研究科博士課程(外科系)修了。同年に渡米し、マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学外科研究員として従事。帰国後、千葉大学病院助手、同大学講師大学院医学研究院講師(先端応用外科学)、千葉県がんセンター消化器外科主任医長を経て、2009年より現職。現在は、東邦大学大学院消化器外科学講座責任者・臨床腫瘍学講座責任者や同大学大森病院特定臨床研究審査委員会委員長を併任。

日本胃癌学会ガイドライン作成委員会委員、日本食道学会会誌編集委員会副委員長などを務める他、日本外科学会代議員、 日本消化器外科学会評議員、日本癌学会評議員、日本臨床外科学会評議員、 日本免疫治療学会理事、日本分子腫瘍マーカー研究会副代表幹事、外科分子細胞治療研究会世話人・代表幹事など多数の学会の活動にも携わる。Ann Gastroenterol Surg誌、Esophagus、Gastric Cancer誌、Ann Thorac Cardiovasc Surg誌、Digestive Surgery誌、Surgery Today誌、J Hepatobiliary Pancreat Sci誌、Cancer Science誌、Int J Clin Oncol誌、Jpn J Clin Oncol誌のEditor & Associate editor、Medical Tribuneのがん専門特設ページ「Oncology Tribune」の総監修も務める。

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