臨床医が知るべき新病態概念「プリズム」 COPDの前段階、介入は必要なのか? 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:世界的に注目される「1秒量だけが低下している状態」 読者の皆さんは「PRISm(プリズム)」という概念をご存じだろうか。これは「Preserved Ratio Impaired Spirometry(1秒率が保たれている肺機能障害)」の略語で、「1秒率が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の基準を満たさないのに、1秒量だけが低下している状態」を指す。 具体的には「1秒率70%以上、かつ予測1秒量80%未満の状態」と定義される。つまり、自身の努力性肺活量と比べた1秒量の割合(1秒率)には問題ないのだが、周囲の健康な人と比較すると1秒量(予測1秒量)が低い状態ということである。閉塞性換気障害は、1秒率が70%未満の状態を指すので、COPDの基準は満たさないということになる。語弊があるかもしれないが、「自分には勝っているが、他人には負けている」状態のことである。 世界的にCOPDの前段階の概念としてPRISmが注目されている。喫煙を続けている人では1秒率はいずれ低下するが、PRISmの集団もCOPDへと移行する(Respir Res 2014; 15:89、Respir Res 2018; 19: 185、Eur Respir J 2020; 55: 1901217)。臨床では、修正MRC息切れスケール(mMRC)のスコアが高く、非COPDかつPRISmの潜伏期が長いケースが存在する。このようなPRISmに臨床的介入が必要どうか、議論が続けられている。 さて、米国の5万例以上の肺機能検査データを用いて、PRISmの有病率やアウトカムを検討した大規模な研究結果が報告されたので紹介したい(JAMA 2021; 326: 2287-2298)。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×