もはや糖尿病はCVD equivalentでない この20年で大きく発展した糖尿病治療 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:糖尿病はCVD equivalentとされてきた 1998年のN Engl J Med誌に報告されたFinnish studyという疫学調査(N Engl J Med 1998; 339: 229-234)の結果は、糖尿病に関わる医療従事者と糖尿病患者を震撼させた。すなわち、糖尿病を持っているというだけで、心筋梗塞(MI)の既往者と同等のMIのリスクがあるというのだ(図1)。 図1. 糖尿病・MI既往の有無別に見たMI未発症率:Finnish study (N Engl J Med 1998; 339: 2239-2234) もちろん、MIの既往のある糖尿病患者が一番の高リスク(7年間でMIの発症率42.0%)なのだが、糖尿病のないMIの既往者(同15.4%)とMIの既往のない糖尿病患者(同15.9%)が同等の高リスクだったのである(いずれもない人は同2.1%)。 以後、糖尿病は"心血管疾患(CVD)equivalent"として扱われるようになった(Eur J Intern Med 2006; 17: 495-499)。2006年に発表されたカナダ・オンタリオ州の健康保険加入者の記録を用いたトロント大学の検討においても、同様の結果であった(Lancet 2006; 368: 29-36、図2)。 図2. 糖尿病・AMI既往の有無別に見たAMI・心血管死発生率(1,000人・年当たり):カナダ・オンタリオ州・健康保険登録データ (Lancet 2006; 368: 29-36) このたび、同じくトロント大学のグループが、最近のオンタリオ州・健康保険加入データをあらためて解析した結果をJAMA誌に報告した(JAMA 2022; 328: 866-869)。それによると、糖尿病単独での心血管イベントの初発率は、CVD既往単独での心血管イベントの再発率よりも低くなっていたという。この20年の糖尿病治療の発展を感じさせるものと思い、ご紹介したい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×