〔NEJM総説〕糖尿病のデジタル技術

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 N Engl J Med2023 Nov 30; 389: 2076-2086) に大興奮の「Digital Technology for Diabetes」の総説がありました。著者は米・スタンフォード大学の内科・小児科の内分泌科医師たちです。この総説ではCGM(持続グルコースモニター、Continuous Glucose Monitor)とAID(自動インスリン投与、Automated Insulin Delivery)を使用した実際の患者さんの3症例を提示しています。

 一読して、現在インスリンを使用している1型と2型糖尿病では、現在のMDI(Multiple Daily Injection)、すなわち「指尖で血糖測定しての多数回自己インスリン打ち」は今後、「CGM(持続グルコースモニター)とAID(自動インスリン投与)」に間違いなく置き換わっていくなと小生確信しました

 N Engl J Med2023 Nov 30; 389: 2076-2086)糖尿病のデジタル技術(総説)、最重要点は次の4点です。

  1. 22歳1型DMでMDI、コントロール不良、CGM+AID変更でHbA1cは3カ月で11.2→6.9に
  2. AIDは5分ごと血糖測定、スマホ→クラウド→皆で共有。取り付けは3時間、リモートで可能
  3. 米糖尿病学会は全インスリン投与患者にCGM推奨度A、行動変容起こる。保険適用あり
  4. MDIはジェットコースターのごとく乱高下、BG 140~180mg/dLとなるのは34~66%、2~29%で低血糖

 小生、今までAID(自動インスリン投与)なんて見たことがありません。まず関連リンク1の1分ほどの驚きの動画をご覧ください。糖尿病の子供がCGM(持続グルコースモニター)とAIDを付けて嬉々として潜水もしています。

【AID(Automated Insulin Delivery)】とは次のようなものです。  

 AIDはCGM(持続グルコースモニター)で測定された血糖値に連動し自動でインスリンを増減する注入法。

i)インスリンポンプ設定:2~3日に1回カニューレ針を皮下に刺す
ii) リアルタイムCGM装着:腹部など皮下組織に装着
iii) CGMの血糖値に基づきインスリン必要量をポンプが注入
iv) 食事に合わせて必要インスリンをポンプで用手または自動注入
v) 設定目標範囲内に血糖値が収まるよう補正ボーラスインスリンを自動注入  

 MDI(多数回自己インスリン打ち)によるジェットコースターのような血糖変動がわずか3カ月余りでAID(自動インスリン投与)による安定コントロールに移行できます。従来のMDIのときとAIDに替えた後の血糖値のグラフがあるのですが、MDIの場合のひどさに驚きました。MDIによる血糖コントロールがこんなにいい加減なものとは小生今まで思いもしませんでした

 まるで何もしていないのではと思うくらいなのです。これがAIDに替えた途端、大方血糖値70~180に落ち着くのです。

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