〔NEJM総説〕てんかんのデジタル技術

付けたり:家内転倒時のアップルウオッチ作動、マルコによる福音書のてんかん記述、プールでのてんかん発作死亡

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 N Engl J Med2024 Feb.22; 390: 736-745)に「てんかんのデジタル技術」の総説がありました。携帯DHT(digital health technology)はてんかんの検知や治療を大きく変えようとしています!

 2021年、国際抗てんかん連盟(International League Against Epilepsy)と国際臨床神経生理学会連合(International Federation of Clinical Neurophysiology)は携帯DHTのガイドラインを発行し、この技術によりてんかん関連死を減らし記録が改善するとしました。特に寝室を共有していない患者で5分以内に住居内で介入できる介護者がいる場合に有用です。

 N Engl J Med2024 Feb.22; 390: 736-745)の「てんかんのデジタル技術」の総説、最重要点は下記5点です。

  1. DHTで強直間代性痙攣の感度91%、非痙攣性てんかんはヘッドバンド(脳波)使用で開発途上
  2. 強直間代性痙攣の25%で重症外傷、突然死は1/1,000人・年。夜間発作は85%気付かぬ
  3. 非痙攣性てんかんはgranular data(砂粒のような)で検出は発展途上。ヘッドバンドで脳波利用
  4. てんかん患者は寝室共有で死亡率減る。介護者が5分以内に介入、体位変換必要
  5. 誤作動の許容範囲は頻回発作では0.1~0.3回/日、発作が少ない場合2回/月未満

 なお痙攣(seizure)は1回の発作であり、てんかん(epilepsy)はそれを繰り返すときをいいます。この総説の要点は、手首の「痙攣検知器(seizure detector)」により強直間代性痙攣発作を検出しスマホで介護者に知らせ、5分以内に対応できれば死亡などを防げるというものです。このような器具を「DHT(digital health technology)」といいます。 しかし痙攣のない欠神発作などではヘッドバンドの電極で脳波を検出する必要があり、まだ開発途上です。こういうDHTを医師が知らないこと自体、罪な話だと思いました。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする