大きく前進か!?HIV曝露前予防(PrEP)

シスジェンターには年に2回の皮下注射

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

(© Adobe Stock ※画像はイメージです)

 HIV感染/エイズが「死に至る病」であった1990年代前半、われわれが取り組んでいたのは予防啓発活動だった。適切なコンドームの着用である。

 コンドームを着用すればHIVリスクは下がる。しかし、人間は「分かっちゃいるけどやめられない」のだ。コンドームはHIVなどの性感染症予防に一定の役割を果たしてきたが、決定打にはならなかった。多くの人はコンドームなしのセックスを求めるからである。

 そこで曝露前予防(PrEP)だ。抗HIV薬のような予防薬をHIV曝露前に内服することにより、HIV感染リスクは著しく低下した。しかし、毎日の内服は多くの人にとって苦痛である。もっと楽な方法はないものか、と考えるのは当然だ。

 既に治療面においては半減期の長いインテグラーゼ阻害薬と非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬の併用で、数カ月置きの注射によるHIVの抑制に成功している。同じことをPrEPで目指したい。

 今回紹介する研究は、抗ウイルス薬レナカパビルの評価である。レナカパビルは新しいメカニズムのHIV-1カプシド阻害薬である。半減期が長いため、半年に1回の皮下注射でOKだ。研究の対象はシスジェンダーの女性である。トランスジェンダーではなく、出生時の性と性自認が一致している女性である。毎年、世界では130万例の新規HIV感染例が発生しているが、その約半数はシスジェンダー女性なのである。

Bekker L-G, Das M, Karim QA, et al. Twice-Yearly Lenacapavir or Daily F/TAF for HIV Prevention in Cisgender Women. N Engl J Med 2024 Jul 24. doi: 10.1056/NEJMoa2407001.

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