HIV陽性者は腎移植ドナーになれるか? ドナーもレシピエントもHIV陽性者の場合 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする (© Adobe Stock ※画像はイメージです) 僕が研修医だったとき、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性者への臓器移植は絶対禁忌だった。しかし、治療が進歩して、現在はHIV陽性者も臓器移植の恩恵を受けることができるようになっている。 その逆はどうか。すなわち、HIV陽性者がドナーとなる移植は可能か? もちろん、HIV非陽性者に対する臓器移植はできるはずがないが、レシピエントもHIV陽性者ならいけるんじゃないか? ドナー不足は深刻な問題だ。ちょっと古い2019年の論文によると、日本では人口100万人当たりの死体腎移植率は0.8、生体腎移植は14.6 だ。韓国がそれぞれ11.4、42.4で、米国が30.7、18.4だ。欧州でも移植先進国といわれるスペインだと43.6、8.0である。 Arshad A, Anderson B, Sharif A. Comparison of organ donation and transplantation rates between opt-out and opt-in systems. Kidney Int 2019; 95: 1453-1460. 実は、HIV陽性者からの固形臓器移植は既に行われている。これはレシピエントに対するドナー不足のためで、ドナー不足により患者が死亡しないための次善の策である。従来、米国ではHIV陽性者からの臓器移植は禁止されていたが、2013年にHIV臓器政策平等法〔HIV Organ Policy Equity(HOPE)Act〕が成立し、2015年に保健福祉省(DHHS)がガイダンスをつくってから、研究目的に限りHIV陽性者からの臓器移植は合法となった。そして2016年には腎移植が行われるようになった。なお、日本の臓器移植法ではHIV陽性者などからの臓器移植は違法のままである〔臓器提供者(ドナー)適応基準及び移植希望者(レシピエント)選択基準について〕。 今回紹介する研究は後ろ向きの観察研究で、HIV陽性のないドナーに対するHIV陽性者をドナーとした場合の非劣性を検証するものである。 Durand CM, Massie A, Florman S, et al. Safety of Kidney Transplantation from Donors with HIV. N Engl J Med 2024; 391:1390-1401. 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×