大腸がんの手術不要な時代に向けて NICHE-2試験で進んだ免疫療法の着実なステップ 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:NICHE試験の成功を受けて術前免疫療法の次なるステップを検証 大腸がんは、世界的に高い罹患率と死亡率を示す主要ながんである。その中でも、ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)を有する大腸がんは、全体の約10~15%を占める。dMMR腫瘍はDNA複製エラーが多く、腫瘍内に多様な遺伝子変異が蓄積されるため、免疫系にとって認識しやすい特徴を持つ。このため、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体など)を用いた免疫療法に対して高い感受性を示すことが知られている。 4年前、切除可能な結腸がんに対し、新規免疫チェックポイント阻害薬を術前治療として投与したところ、dMMR結腸がんでは100%の患者に完全奏効からそれに近い奏効を示したNICHE試験の内容を紹介した〔関連記事「特定サブセットの大腸がんは手術が不要に?」(Nat Med 2020; 26: 566-576)〕。当時、免疫療法を術前治療として使用した臨床試験は初めてであり、その驚異的な奏効率が大きな話題となった。しかし、この試験は小規模であり、エンドポイントも病理学的反応率にとどまっていたため、腫瘍の消失や縮小が本当に長期予後の改善に帰結するのか?という疑問には答えられなかった。 今回紹介する論文は、まさにこのNICHE試験を主導したMyriam Chalabi氏らによるもので、同試験の大きな成功を受けて計画された、dMMR結腸がん患者に対する術前免疫療法の有効性と安全性を評価したNICHE-2試験の結果である。この研究は、今年(2024年)6月に「Neoadjuvant Immunotherapy in Locally Advanced Mismatch Repair-Deficient Colon Cancer」としてNew England Journal of Medicine誌(2024; 390: 1949-1958)に発表された。その後、今年9月13〜17日の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表された追加報告の内容も含めて紹介したい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×