抗ヒスタミン薬抵抗性の蕁麻疹への一手は? ロイコトリエン受容体拮抗薬という選択肢 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:70~80%は原因不明。抗ヒスタミン薬治療抵抗性の蕁麻疹は少なくない 蕁麻疹は、かゆみを伴う赤色膨疹や血管性浮腫を特徴とする皮膚疾患で、日常診療においてよく遭遇するcommon diseaseの1つだ。発症からの症状持続期間で分類され、6週以内の場合は急性蕁麻疹、6週を超えると慢性蕁麻疹と呼ばれる。さらに原因別に、特定の誘因による刺激誘発型の蕁麻疹と誘因がわからない特発性蕁麻疹に分類される。 蕁麻疹は特定のアレルギー物質が引き起こす疾患と認識している医師も少なくないだろう。しかし、原因が明確な蕁麻疹(刺激誘発型の蕁麻疹)は慢性蕁麻疹全体の20~30%しか存在せず、その中で特異的なアレルゲンが関与するのは一部である。主な原因としては、①アレルギー性(食物、薬剤、花粉、ダニ、動物、昆虫など)、②非アレルギー性〔非ステロイド抗炎症薬(NSAID)不耐症、造影剤静注など〕、③物理性(機械的摩擦、圧迫、寒冷曝露、温熱負荷、日光照射、水との接触)、④コリン性(発汗および発汗促進刺激)、⑤接触―などがあり、通常は誘因への曝露後10分以内に発生し、誘因を回避できれば1~3時間以内に改善傾向に向かうことが多い。 しかしながら先述の通り、慢性蕁麻疹のうち70~80%は明確な誘因がなく出現する特発性蕁麻疹だ。誘因回避という最も有効な手段は使えず、基本的には対症療法となる。わが国で行われている一般的な治療手順を図1に示す。 図1. 特発性慢性蕁麻疹に対する治療手順 第一選択薬としては、やはり非鎮静性抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)を用いるわけだが、通常量でコントロールできない場合、実臨床では倍量投与(添付文書に「症状により適宜増減可」と記載のある薬剤)や2剤併用(保険診療では認められない場合あり)が行われている。しかし、それでもコントロールできない場合も少なくない。全身性ステロイドの使用を考えたくなるが、副作用を考慮すると長期的な管理薬としては好ましくないため、緊急性がない場合の次の一手としては、H2受容体拮抗薬やロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の併用が推奨されている(いずれも蕁麻疹における保険適用なし) 。 LTRAは、小児および成人の喘息・アレルギー性鼻炎の治療に対する効果に明確なエビデンスをもち、頻用される薬剤である。マスト細胞や好塩基球の活性化により放出されるロイコトリエンを抑えることで主にアレルギー性炎症を抑制するが、アトピー性皮膚炎やアナフィラキシーに対する効果は認められていない。慢性蕁麻疹におけるLTRA併用の効果についても明確なエビデンスが示されておらず、各国のガイドラインでは併用の可否について一貫した方針が定められていなかった。しかし今回、蕁麻疹治療においてLTRAを追加した場合の利点と欠点を評価するためのランダム化比較試験(RCT)によるシステマチックレビューおよびメタ解析(J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 996-1007)が示されたので御紹介したい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×