精神科医の夢「うつ病を検査する」はかなうか 脳MRIの可能性 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:信頼できるうつ病の検査法は存在しない うつ病の診断は、精神科医による問診によってなされる。インターネットで検索すると、うつ病の診断に既にさまざまな検査が用いられているかのように見えるが、現実には、世界的に有用性が確立されている検査法は存在しない。 日本では、光トポグラフィーを用いて前頭部の血液量を測定しながら、語流暢課題(「た」で始まる言葉を言ってもらう、など)を行い、課題施行中の前頭部の血液量変化を測定する方法が、うつ病の鑑別診断補助として保険適用されているが、この検査が用いられているのは日本だけで、世界的にはこの方法がうつ病の鑑別診断に有用とはされていない。 また、血液検体によるリン酸エタノールアミン測定を検査と称して行っているクリニックもあるが、うつ病におけるリン酸エタノールアミンの変化については、一致した結果が得られておらず、もちろん保険適用はなく、学術的にも検査としての有用性は認められていない。 定量的脳波(QEEG)により診断が可能だと主張しているクリニックもあるが、脳波はてんかんや意識障害を伴う器質性疾患による抑うつ状態の鑑別には有意義ではあるものの、うつ病を診断できるわけではない。 このように、現状では、一般身体疾患の除外のために検査が用いられはするものの、真にうつ病の検査法といえるものは存在しない。 2017年に、Conor Listonらのグループが、安静時機能結合MRI(rs-fcMRI)によりうつ病を判別できるとNature Medicine誌に報告したが(Nat Med 2017; 23: 28-38)、検査に用いられるには至っていない。これまでのrs-fcMRI研究では、被験者群と対照群間の比較が行われてきたが、この方法では、機能結合の個人差を不明確にしてしまう可能性がある。 そのような中で、各個人で長時間のMRI撮像を繰り返し行うことで、各個人の機能結合の特性を扱う手法が開発された(Neuron 2015; 87: 657-670)。今回、Listonらは、この単一被験者内での精密な解析(precision functional mapping)をうつ病に応用し、うつ病に罹患した者では、発症前から特徴的な所見が認められると報告した(Nature 2024; 633: 624-633)。今度こそ、うつ病の信頼できる真の検査法になるのだろうか。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×