入院患者の全例コロナ検査は有効だったのか

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

(© Adobe Stock ※画像はイメージです)

 

研究の背景:コロナ対策、事後的な検証は十分になされたのか?

 今更、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話かよ。そういう文句も聞こえてきそうだが、「今だからこそ」COVID-19なのだ。日本は「済んだことを四の五の言わない」ことを美徳とするが、パンデミックの最中はみんな忙しいし、何よりヒステリックになっている。冷静に時間をかけて自分のプラクティスの妥当性を検証する余裕はない。だから、検証作業はいつだって「事後的に」行わねばならないのだ。ここをサボるから、日本は感染症が勃発するたびに「いつか来た道」をまたたどり、「この前も言っていた同じ失敗」を繰り返すのだ。

 われわれは「さすがにそれはまずいだろう」と思っているので、COVID-19対策の事後的な検証を行った。それをまとめた本もあるので、ぜひご一読いただきたい。

田淵貴大. データから理解し 次のパンデミックにつなげる 新型コロナ検証SP. 調剤と情報【雑誌】2025年1月増刊【定価4,180円(税込)】. じほう, 2025.

 宣伝も済ませたので本題である。今回、紹介する論文もまた、われわれが取り組んだ「事後的な検証作業」である。各医療機関で行われた入院時のルーティンコロナ検査。意味ないんじゃないかなあ、と思っていた人も多いと思うが、あちらこちらの政治的プレッシャーから、遂行せざるをえなかった、あれだ。

 その効果を吟味したのが本論文である。

Iijima K, et al. Comparing the effectiveness of universal admission testing and risk-based testing at emergency admission for preventing nosocomial COVID-19: a multicenter retrospective cohort study in Japan. Infect Control Hosp Epidemiol 2025; 46: 81-89.

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする