アナフィラキシー管理の国際的なコンセンサス 早急な治療開始のための判断基準とは? 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 【研究の背景】世界の2大管理基準に相違点、統一した臨床基準および管理方法の策定を目指す 2022年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン集団接種会場で、被接種者がワクチンによるアナフィラキシーで亡くなられたという事例を覚えていると思う。死亡を回避できなかった原因は、迅速にアドレナリン筋肉注射を施行できなかったことにある。現場には医師を含む多数の医療関係者がいたにもかかわらず、アナフィラキシーか否かの判断が間に合わなかった。この事例に限らず、アナフィラキシーによる死亡例のほとんどはアドレナリン筋肉注射の遅れが原因とされる。いかに迅速に施行できるかが患者の生命予後を大きく左右するのだ。 アナフィラキシーは、臨床検査結果は必要とせず、臨床所見のみで診断可能である。近年、アナフィラキシーの判断基準として世界的に主流とされているのは、2006年に策定された「米国立アレルギー感染症研究所 (NIAID)/食品アレルギー・アナフィラキシーネットワーク (FAAN) の基準」または 2020年の「世界アレルギー機構 (WAO) の修正アナフィラキシー基準」だ。しかし両者は統一的な基準を採用しているわけではないため、互いに異なる基準の存在がアナフィラキシーの管理に一貫性を欠く一因となっているという指摘がなされていた。 そこで、世界アレルギー・喘息研究ネットワーク (GA2LEN)は「潜在的な誘因に関する詳細な情報と出現している兆候をもとに総合的にアナフィラキシーの可能性が高いかどうかを診断し、早急に治療が開始されなければならない」という観点から、アナフィラキシーの世界的な定義の調和をはかることを目的として、NIAID/FAAN基準および WAO基準の相違点に対処するアナフィラキシーの臨床基準の合意を策定するための国際専門家委員会を招集した。そこで得られた合意基準がJ Allergy Clin Immunol(2025年1月27日オンライン版)に公開されたため、ご紹介したい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×