COVID-19との戦いは退院後も終わらない

軽視できない再入院・死亡リスク

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研究の背景:入院治療を乗り越えた患者のその後は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的に流行し、700万人以上の人々が亡くなったとされている。欧州で行われた3つの大規模な後ろ向きコホート研究では、長期死亡率がイタリアの1.9%(J Intern Med 2022; 292: 450-462)、ドイツの6.2%(PLoS ONE 2021; 16: e0255427)、英国の12.3%(BMJ 2021; 372: n693)と、疫学的背景や医療提供体制の差を反映するかのように推定値は乖離している。

 入院治療を乗り越えた患者の長期的な予後については、いまだ不明な点が多い。今回紹介する研究(ERJ Open Res 2025; 11: 01281-2024)は、COVID-19による初回入院治療から生存退院した成人患者を対象に、90日以上の長期にわたる再入院率と全死亡率を明らかにすることを目的としたシステマチックレビューおよびメタ解析である。

 MEDLINE、EMBASE、Scopus、Web of Science、Global Healthの5つのデータベースを検索し、2人の独立した研究者によるスクリーニングによって研究が選定された。対象となった研究は、COVID-19の初回入院後に退院した成人患者で、最低90日以上の追跡を実施したコホート研究である。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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