30年ぶりに承認された新規便秘治療薬ルビプロストン、その効果は?

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研究の背景:全身への影響少ない、新しい作用機序

  ルビプロストンは、クロライドチャネルアクチベーターであり、「上皮機能変容薬」や「消化管分泌促進薬」と称され、小腸上皮細胞の管腔側に存在する2型クロライドチャネル(ClC-2)を活性化し、 腸管内に浸透圧性に水分泌を促進することで軟便化し、腸管内の便輸送を促進する薬剤である(Am J Physiol Cell Physiol 2002; 282: C805-C816 Am J Physiol Cell Physiol 2004; 287: C1173-C1183)。わが国では、実に30年ぶりに承認された新規の慢性特発性便秘の治療薬である。

  ルビプロストンの作用機序は、慢性特発性便秘(CIC)や便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)の治療に使われる他の薬剤とは異なっている。二環系脂肪酸プロスタグランジンE1の新たなクラスの薬剤として、ルビプロストンは腸上皮の管腔側の膜のClC-2を活性化、腸管腔内にクロライドに富んだ液体を分泌し、その結果、腸管運動を促進する。亢進した腸管運動により便排泄が促進される。管腔側に作用するという性質から吸収されにくく、そのために全身性に影響することが最小限であり、血漿中で検出されることはまれである。 今回は、CICとIBS-Cの治療におけるルビプロストンの有効性と安全性を評価したシステマティックレビューとメタアナリシスをみつつ、便秘における、同薬の現状を考察したい(Mayo Clin Proc 2016; 91: 456-468)。

鈴木 秀和(すずき ひでかず)

鈴木先生

慶應義塾大学 医学教育統轄センター教授。

1989年に慶應義塾大学医学部を卒業し,1993年に同大学大学院医学研究科博士課程修了 。同年に米国カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員,2005年に北里研究所病院消化器科医長を経て,2006年に慶應義塾大学医学部内科学(消化器)専任講師 ,2011年に同大学内科学(消化器)准教授。2015年11月より現職。
東京歯科大学内科学客員教授,日本微小循環学会理事長,日本消化器病学会財団評議員,Rome委員会委員,日本ヘリコバクター学会理事,日本潰瘍学会理事,日本神経消化器病学会理事,日本臨床中医薬学会理事,AGAフェロー,ACGフェロー,Rome財団フェロー。

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