研究の背景:解明が進む上部消化管の細菌叢 H. pyloriの発見までは、ヒトの胃はその強酸性のため、無菌部位であると考えられていた。H. pyloriの発見後は、H. pyloriが胃上皮で生息することができる唯一の細菌であると想定されてきた(Nat Rev Gastroenterol Hepatol 2014; 11: 628-638)。しかし、その後、Firmicutes、ProteobacteriaおよびBacteroidetesといった細菌門に属する細菌が胃液から培養され(Aliment Pharmacol Ther 2001; 15: 379-388)、さらに最近の細菌培養を用いない研究からは上部消化管に生息する複雑な細菌門集団の存在が明らかになった(Proc Natl Acad Sci USA 2006; 103: 732-737)。