子宮頸がんは撲滅可能、不作為は罪

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:ワクチンとがん検診で達成可能な子宮頸がんの撲滅

 子宮頸がんは(当然)女性の疾患だが、世界で毎年50万人以上が罹患していると見積もられる。女性人口10万人当たり14件の発生である。古典的な2価、あるいは4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンで70〜84%の子宮頸がんを予防でき、最新の9価のワクチン(日本未承認のGardasil 9)であれば90%の予防効果があるとされる。

 ただし、HPVワクチンは一度ウイルス感染が起きてしまうと予防効果は期待できない。よって、既に感染している女性についてはがん検診(スクリーニング)が重要となる。従来はPAPスメアを用いた細胞診でスクリーニングが行われていたが、HPVを直接検出する方法の方がベターだ。婦人科医などの診察がなくても、自分で検体を得ることができるのもHPV検査の利点だ。

 がん検診は先進国で63%、途上国で19%のカバー率と言われている。ちなみに日本の場合は4割程度と、先進国の中では受診率が低い。
http://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_30/outline/low.html

岩田 健太郎(いわた けんたろう)

岩田氏

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。 著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。

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