「家族」の精神的負担:ICUでの場合

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:ストレス軽減に必要なのは知識か?感情のコントロールか?

 集中治療の現場では患者さんのご家族の精神的な負担も重くなる。時に本人の意識がないときに重大な決定を迫られ、悩む時間もないまま種々の書類にサインをさせられるということもあるだろう。そうしたとき、医療者側とご家族の意志疎通に不備があると、後々悲劇的な結果を招きかねない。そこで、この分野では少しでも家族の負担を軽減しようと、多くの研究が(地味にだが)行われてきた:

●緩和専門医とナースがプロトコルに従って適切な医療知識を提供し、意思決定をサポートする(JAMA 2016)
●ナースとソーシャルワーカーで構成されたチームが患者家族のサポートを行う(Am J Respir Crit Care Med 2011 and 2016)

 しかしこうした知識をサポートしようという試みは、あまり臨床的に良い結果をもたらしてこなかった(新たにサポートチームを形成する必要があり、コストもかさんだ)。そこで、今回PARTNER研究では、該当施設の集中治療室(ICU)スタッフに短時間の研修を行い、家族への「感情的」なサポートを行うことに重点を置く介入を行った(N Engl J Med 2018; 378: 2365-2375)。

香坂 俊(こうさか しゅん)

香坂 俊

慶應義塾大学循環器内科専任講師。 1997年に慶應義塾大学医学部を卒業。1999年より渡米、St Luke's-Roosevelt Hospital Center にて内科レジデント 、Baylor College of Medicine Texas Heart Institute にて循環器内科フェロー 。その後、2008年まで Columbia University Presbyterian Hospital Center にて循環器内科スタッフとして勤務。


帰国後は,循環器病棟での勤務の傍ら主に急性期疾患の管理についてテキストを執筆〔『極論で語る循環器内科第二版 』(丸善)、『もしも心電図が小学校の必修科目だったら』(医学書院)、『急性期循環器診療』(MEDSi)〕。2012年からは循環器領域での大規模レジストリデータの解析を主眼とした臨床研究系大学院コースを設置 (院生は随時募集中;詳細はこちら)。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする