コロナワクチン添付文書に追記された「心筋炎」、その実態を追う

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背景: ワクチン接種者で「心筋炎が報告されている」

 昨年(2021年)7月、ファイザー社とモデルナ社製のコロナウイルスmRNAワクチンの添付文書の「重要な基本的注意」に以下の情報が追記された:

本剤との因果関係は不明であるが、本剤接種後に、心筋炎、心膜炎が報告されている。(中略)心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。

 両ワクチンの副反応に関しては、接種が実施されるようになったすぐ後から、実にさまざまな症状や症候が報告されているが、心筋炎は時に重篤な病状を呈すこともあり、この追記内容はかなりマスコミなどにも大きく取り上げられたように記憶している(今もって患者さんから質問を受けることも多い)。

 以来、コロナワクチンと心筋炎の因果関係に関しては小規模の疫学研究がなされてきたが、今回イスラエルからある程度まとまった報告がなされたので、ここで少しその内容を紹介させていただきたい。

香坂 俊(こうさか しゅん)

香坂 俊

慶應義塾大学循環器内科専任講師。 1997年に慶應義塾大学医学部を卒業。1999年より渡米、St Luke's-Roosevelt Hospital Center にて内科レジデント 、Baylor College of Medicine Texas Heart Institute にて循環器内科フェロー 。その後、2008年まで Columbia University Presbyterian Hospital Center にて循環器内科スタッフとして勤務。


帰国後は、循環器病棟での勤務の傍ら主に急性期疾患の管理についてテキストを執筆〔『極論で語る循環器内科第二版 』(丸善)、『もしも心電図が小学校の必修科目だったら』(医学書院)、『急性期循環器診療』(MEDSi)〕。2012年からは循環器領域での大規模レジストリデータの解析を主眼とした臨床研究系大学院コースを設置 (院生は随時募集中:詳細はこちら)。

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