COPD増悪後、3分の1は再入院する

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研究の背景:COPD増悪による死亡は世界的問題

 喫煙率が日本で下がってきたとはいえ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は依然有病率が高く、増悪して入院する患者は後を絶たない。世界的には、年間450万人がCOPDで命を落としているとされており、世界の死亡者数の約8.6%を占めると推定されている(PLoS Med 2006; 3: e442)。

 高い有病率であることから、呼吸器内科だけでなくプライマリ・ケアにおいても適切にマネジメントすることが肝要である。重要なポイントは、禁煙指導である。喫煙しながら抗コリン薬を吸入して、プラマイゼロのような感覚を持っている患者もいるが、将来を見据えて、いかに禁煙が重要かを知ってもらうことが「確実な治療法」であると確信している。

 さて、今回紹介する研究(Respir Med 2023; 206: 107090)では、COPDと診断され、COPD増悪(急性増悪)によって入院した患者がどのくらい再入院するかを見ている。米国や英国では、再入院率の高い病院に対してなんらかのペナルティが課されることから、再入院だけはどうしても避けたいという社会的な事情がある。そのため、疾患ごとに妥当な再入院率を知っておくことは重要である。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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