手術で救える病院と救えない病院の違いとは?

消化器外科のFTR率に焦点を当てた日本の研究から

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研究の背景:救命できる病院とできない病院の差はどこにあるのか?

 近年、外科手術の安全性は向上しているが、それでもなお合併症は発生し、一部の患者は命を落としている。手術関連の死亡は、ほぼ必ずといっていいほど合併症の延長線上にあるが、手術関連死亡の要因を分析すると、合併症の発生とその後の回復という2つの過程に分けられる。

 このうち合併症からの回復の評価尺度としてFTR(Failure to Rescue)率が知られている。FTR率は、重篤な合併症を発症した患者のうち救命できなかった割合を示す。この評価尺度は、医療の質や患者安全性の評価において重要な役割を果たす。

 今回は、日本の消化器外科手術後のFTR率に焦点を当て、FTR率が高い病院と低い病院の差を分析した研究を取り上げたい。研究結果では、死亡率やFTR率が低い優良な病院では、外科医以外の人的資源が深く関与していることが明らかになったという(Ann Gastroenterol Surg 2023; 8: 342-355)。

須田 竜一郎(すだ りゅういちろう)

君津中央病院消化器外科部長。千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学。2001年藤田保健衛生大学卒。2001年より国立国際医療研究センターレジデント。2007年より同センター下部消化管外科技官。2018年より千葉大学病院第一外科を経て、2020年より現職。専門は下部消化管。日本外科学会指導医、日本大腸肛門病学会指導医、日本消化器内視鏡学会指導医、日本消化器外科学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本臨床肛門病学会技能指導医、日本腹部救急医学会評議員。

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