統合失調症に72年ぶりの新機序薬! KarXTの実力

今年発表された2つの臨床試験からの考察

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研究の背景1:従来の統合失調症治療薬は全てD2受容体を阻害

 今年(2024年)9月、米食品医薬品局(FDA)は、抗精神病薬KarXT(カーエックスティー)を承認した。

 1952年に麻酔前投薬として用いられていたクロルプロマジンが統合失調症に有効であることが見いだされて以来、70年以上にわたり、統合失調症の治療薬は全てドパミンD2受容体阻害作用を介して効果を発現するものであった。

 今回、72年ぶりに、新たな作用機序を持つ抗精神病薬が登場することになった。そこで、これがどのような薬なのか、今年発表された2件の臨床試験を振り返り、その実力を確かめてみたい。

加藤 忠史(かとう ただふみ) 

 順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。

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