研究の背景1:従来の統合失調症治療薬は全てD2受容体を阻害 今年(2024年)9月、米食品医薬品局(FDA)は、抗精神病薬KarXT(カーエックスティー)を承認した。 1952年に麻酔前投薬として用いられていたクロルプロマジンが統合失調症に有効であることが見いだされて以来、70年以上にわたり、統合失調症の治療薬は全てドパミンD2受容体阻害作用を介して効果を発現するものであった。 今回、72年ぶりに、新たな作用機序を持つ抗精神病薬が登場することになった。そこで、これがどのような薬なのか、今年発表された2件の臨床試験を振り返り、その実力を確かめてみたい。