子宮内膜症と自己免疫疾患の関連性を探る

「免疫介在性炎症性疾患」の1つ

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:子宮内膜症と自己免疫疾患の診断間の時間的関係は不明だった

 子宮内膜症は、子宮の外に子宮内膜に似た組織が存在する、全身性の炎症性疾患である。これは、生殖年齢女性の約10%に影響を及ぼし、慢性的な痛みや不妊症を引き起こすことがある。世界で1億9,000万人が罹患している。

 一方、自己免疫疾患は、体の免疫システムが自身の健康な組織を攻撃する病気である。全人口の約8%に発症し、そのうち約80%が女性である。

 子宮内膜症と自己免疫疾患は臨床的特徴が重複し、QOLに影響を及ぼすことから、両者の潜在的な関連性が幾つかの研究で調査されてきた。これまでに、子宮内膜症と全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、橋本病、炎症性腸疾患、バセドウ病(グレーブス病)、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、強直性脊椎炎など、さまざまな自己免疫疾患との関連が示されている。

 この関連性の根拠として、両疾患に共通する免疫病原メカニズム、例えば、慢性炎症や免疫細胞の調節異常が存在する可能性が挙げられる。子宮内膜症患者における異所性病変の存在は、炎症の連鎖反応を引き起こし、プロスタグランジンやサイトカイン、炎症性産物の放出を増加させる。子宮内膜症患者では、腹腔内の好中球やマクロファージの増加、ナチュラルキラー細胞の活性抑制、T細胞機能の異常が認められることも、この仮説を裏付けている。

 しかし過去の研究では、子宮内膜症と自己免疫疾患の生涯にわたる関連性は示唆されてきたが、これらの診断間の時間的な関係は不明であった。子宮内膜症に関連する免疫不全が、併存する自己免疫疾患の発症にどの程度寄与しているかを理解するには、両疾患が同様の期間内に診断されるかどうかを判断することが不可欠である。

 今回紹介する試験(npj Women's Health 2025; 3: 36)では、子宮内膜症の女性が、マッチングした対照群と比較して、子宮内膜症の初回診断から2年以内に自己免疫疾患の診断を受けるオッズが高いかどうかを検証するために、後ろ向きコホート研究を実施している。過去の研究が特定のコホートや中程度のサンプルサイズに限られていたのに対し、この試験は、米国の日常的なケアパターンを反映した大規模な観察コホート内で関連性を調査した。

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