ドクターズアイ 今野良(産婦人科)

子癇前症予防における低用量アスピリンの有用性

リスク層別化と早期介入の徹底が周産期予後を左右

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研究の背景:胎盤病態に着目した予防戦略としてのLDA投与の再評価

 子癇前症は、依然として母体と胎児の生命を脅かす主要な合併症であり、その予防は産科管理の最重要課題である。子癇前症、特に妊娠37週未満で発症する早発型子癇前症の多くは、妊娠初期の胎盤血管形成不全に起因することが確立している。この胎盤病態の予防戦略として、抗血小板薬である低用量アスピリン(Low-dose aspirin;LDA)が世界的に検討されてきた。

 しかし、その有効性は一律ではなく、どの妊婦に、いつ、どの程度の量を投与すべきかという点で、大規模な臨床試験により詳細なエビデンスの構築が求められてきた背景がある。2025年に、低リスク群妊婦に関する論文が発表されたが(Am J Obstet Gynecol MFM 2025; 7:101595)、それに関連する以前の論文もまとめてレビューしたい。

今野 良(こんの りょう)

自治医科大学名誉教授、自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科、メディカルコンサルH&B代表、特定非営利法人子宮頸がんを考える市民の会理事長

日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本旅行医学会など。
ASCO(米国臨床腫瘍学会、子宮頸がんガイドライン作成委員・外部評価委員)、AOGIN(アジアオセアニア生殖器感染症および腫瘍に関する学会、日本代表理事、2017年TOKYO meeting会長)、Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容医療・アンチエイジング医学会)、World Endometriosis Society(世界内膜症学会)など。

今野 良
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