ドクターズアイ 山田悟(糖尿病)

糖尿病関連腎臓病への「4本柱」併用の是非は?

CONFIDENCE試験の主解析とサブ解析から

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:Fantastic 4、4 Pillarsという薬剤概念がある

 今年(2025年)3月に改訂された日本循環器学会の『心不全診療ガイドライン』において、心不全〔特に左室機能が低下した心不全(HFrEF)〕に有効な薬剤として、①レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬〔場合によってはアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)〕、②β遮断薬、③ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、④SGLT2阻害薬―の有効性が挙げられている。これらをFantastic 4と呼ぶこともあるようである(Herz 2025; 50: 297-304)。

 Fantastic 4の慢性腎臓病(CKD)または糖尿病関連腎臓病(DKD)バージョンが「4本柱」を意味する4 Pillarsである(Nephrol Dial Transplant 2023; 38: 253-257)。すなわち、①RAS阻害薬のアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、②SGTL2阻害薬、③MRA、④GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)―であり、これらの4剤はCKD(特にDKD)に対する有効性が示されているのである。では、これらを併用することでその有効性が相加的に発揮されるのであろうか。

 これまでにも、心血管アウトカムに対してSGLT2阻害薬とGLP-1RAの併用効果が存在することは取り上げたことがあるが(Circulation 2022; 145:565-574、関連記事「『SGLT2i』と『GLP-1RA』の併用に自信!」)、今年になってDKDに対してSGLT2阻害薬とMRAの併用の相加効果が存在することが報告されている。これがCONFIDENCE(Combination Effect of Finerenone and Empagliflozin in Participants with Chronic Kidney Disease and Type 2 Diabetes Using a Urinary Albumin-to-Creatinine Ratio Endpoint)試験である(N Engl J Med 2025; 393: 533-543)。

 そしてこのたび、米国糖尿病学会の機関誌Diabetes Careに、DKDに対するSGLT2阻害薬とMRAの併用効果に対して、GLP-1RA投与の有無で差異が生じるかどうかのサブ解析が報告された(Diabetes Care 2025; 48: 1904-1913)。今後、どこまで早急に4Pillarsの併用を進めるかを考える際のご参考になればと願い、CONFIDENCE試験の主解析とサブ解析2つの論文をご紹介したい。


山田 悟(やまだ さとる)

1994年、慶應義塾大学医学部を卒業し、同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て、2002年から北里研究所病院で勤務。 現在、同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら、2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医

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