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歩く速度が遅いと心臓病死リスクが3倍に―仏研究

 2011年08月05日 10:38

 【ロンドン】フランス・パリ第6大学のAlexis Elbaz氏らは,高齢者の歩行速度とすべての原因による死亡(全死亡),がん,心血管疾患(心臓や血管など循環器における病気),感染症、呼吸不全などの主な死因との関係を調査した。フランスの3都市(ボルドー,ディジョン,モンペリエ)での合同調査の一環として65~85歳の男女3,208例を5年間追跡した今回の研究は、「歩行が遅い高齢者の心血管疾患死リスクは、歩行が速い高齢者の3倍に上る」と結論している。歩行速度を測ることで、高齢者の運動能力が評価できるという。詳細は、英医学誌「BMJ」(2009; 339: b4460)に発表された。

がん死には関連せず

 Elbaz氏らは「今回の調査結果は,高齢者の運動能力が歩行速度などの単純な尺度により評価可能で,高齢者の生命と体の機能を守る上で運動による健康維持が果たす役割が大きいことを示している」と述べている。

 歩行速度で死亡などの健康リスクが予測できることは、これまでの研究によって示唆されていた。しかし、今回のような死亡率の増大を招く特定の死因については不明だった。

 同氏らは、参加者に約6メートルの歩行テストを受けさせ,速度計測カメラを用いた歩行速度の自動計測を行った。その後、5年以上にわたって定期的な追跡調査を行い,低速,中速,高速の3段階に分けて死亡リスクを算出した。調査開始前のいくつかの特徴で調整した後,調査開始時に低速歩行者では,高速歩行者に比べて死亡リスクが44%高いことが判明した。

 死因別では、低速歩行者の心血管疾患による死亡リスクが高速歩行者の3倍に上った。このような心血管疾患死リスクの増加は男女に共通して見られ,年齢による差はなく,普段あまり体を動かさない人と普通に動かしている人の間には差が見られた。興味深いことに,歩行速度とがんによる死亡の間には関連性は見られなかった。

Medical Tribune紙 2010年1月14日号 掲載

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