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飲酒で男性の心臓病リスクが大幅低下―スペイン

 2011年08月05日 10:38

 【ロンドン】スペイン・バスク自治州ギプスコア公衆衛生省のLarraitz Arriola氏らは、食事と飲酒に関する質問票調査を実施した結果、「男性ではアルコールの種類を問わず、飲酒習慣が重度の心臓病になるリスクを大幅に低下させることが分かった」と英医学誌「Heart」(2010; 96: 124-130)に発表した。一方で、女性では低下効果が認められなかったという。

ビール中瓶1日4.5本以上でも半減

 スペインはビールとワインの生産で世界第3位を誇り、国民1人当たりの飲酒量は世界第6位だが、狭心症や心筋梗塞などの冠状動脈性心疾患による死亡率が世界で最も低い国の1つでもある。

 Arriola氏らは、スペインの成人4万1,438人(男性1万5,630人、女性2万5,808人、29~69歳)に対し、食事と飲酒に関するアンケート調査を実施した。質問票では、調査前年における特定の食品や飲料の消費量について回答してもらった。

 アルコール総摂取量は、1日または1週間に消費したアルコール飲料の標準飲酒量を基に算出した。1標準飲酒量には約14グラムのアルコールが含まれる。また運動、喫煙、肥満、高コレステロールといった他の心臓病の原因となる要素など、ライフスタイルに関する情報も収集した。なお、ビール中瓶(500ミリリットル)1本に含まれるアルコール量は約20グラムとされている。

 試験期間中に609件(男性481件、女性128件)の冠動脈イベント(冠状動脈に関する病気など)が発生した。飲酒量によって少量(アルコール1日0~5グラム)、中等量(同5~30グラム)、多量(同30~90グラム)、大量(同90グラム以上)に分けたところ、男性では中等量、多量、大量の全群で冠状動脈性心疾患のリスクが低下した。非飲酒群と比べたリスク低下率は、元飲酒群で10%、少量群で35%、中等量群で51%、多量群で54%、大量群で50%だった。

アルコール分解過程は男女で異なる

 飲酒の恩恵は女性にも見られたものの、統計学的には「効果あり」とはならなかった。Arriola氏らは「女性の場合、男性より冠動脈イベントの発生数が少ないためではないか」と考えており、(1)女性のアルコール分解過程が男性とは異なる、(2)若い女性では女性ホルモンが心臓病を予防する―ことを指摘している。

 今回の調査は、摂取したアルコールの種類と予防の程度は無関係だが、ワインだけでなく他のアルコール飲料でも中等量~多量の飲酒者の方が冠状動脈性心疾患による死亡に対する予防効果が高かったことを示している。ただし、同氏らは「世界保健機関(WHO)の見積りによると、世界ではおよそ20億人が飲酒し、そのうち7,600万人を超える人が健康を害している」と警告している。

Medical Tribune紙 2010年1月14日号 掲載

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