運動で学業の成績が向上―スウェーデン研究
2011年08月05日 10:38
【ワシントン】スウェーデン・イエテボリ大学のH. Georg Kuhn氏らは、青年期のスウェーデン人男性を対象とした研究の結果、体の健康と知能の高さや学業の高成績とが関連することを、米科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA」(2009; 106: 20906-20911)に発表した。特に、筋力よりも心臓や血管など循環器の健康度との関係が深かったという。
後の社会経済的地位も予測
運動と認知機能との関連性はこれまで多くの研究で明らかにされているが、人間を対象にした研究のほとんどは子供か高齢者に焦点が当てられていた。一方、脳が急速に成長する青年期を対象とした研究は非常に少なく、結果も一貫性に欠けるものだった。
Kuhn氏らは、1950~76年に生まれ、18歳で兵役に就いた全スウェーデン人男性122万1,727人分の体の健康と知能に関するデータを調査した。対象者のうち、同じ親から生まれた兄弟が26万8,496組、双子が3,147組で、双子のうち1,432組は一卵性双生児だった。
研究の結果、筋力ではなく循環器の健康こそが、認知機能と関連するとさまざまな評価で明らかになった。また、18歳時の循環器の健康度が、その後の社会経済的な地位や学問的な業績を予測する要素となることも判明した。さらに、双子のデータを検討したところ、上記のような関連性では、遺伝によるものよりも環境によるものの方が大きく影響することも明らかになった。
同氏らは「今回の結果は、運動を奨励することが、学業成績を高めるための公衆衛生上の戦略となることを示している」と結論付けている。
Medical Tribune紙 2010年1月21日号 掲載