1日5gの塩分増加で脳卒中リスクが23%上昇―伊研究
2011年08月05日 10:38
【ロンドン】イタリア・ナポリ大学のPasquale Strazzullo氏らは,塩分の取り過ぎは脳卒中と心血管疾患(心臓や血管など循環器における病気)を発症するリスクを有意に高めると、英医学誌「BMJ」(2009; 339: b4567)に発表した。同氏らによると、1日の塩分摂取量を5グラム増やすごとに脳卒中になるリスクが23%上昇し、逆に5グラム減らすと年間425万人の脳卒中や心血管疾患による死亡を回避できるという。
集団レベルでの制限が必要
塩分の過剰摂取と高血圧との関係については多くの研究で報告されており,食塩の摂取量を集団レベルで減らせば,心血管疾患の発症を大幅に抑制できることが示唆されてきた。世界保健機関(WHO)が推奨する塩分摂取量は1日5グラム(小さじ1杯程度)だが,西欧のほとんどの国では1日10グラム近くの塩分を摂取しており,東欧ではそれをはるかに上回る国が多い。
Strazzullo氏らは,食塩摂取量と脳卒中および心血管疾患の発症率との関係を直接評価した13研究(対象者=計17万人超)を対象にメタ解析※を行った。その結果,1日の塩分摂取量が5グラム増やすと脳卒中リスクが23%,心血管疾患リスクが17%上昇することが判明。一方、5グラム減らすと同じだけリスクが低下した。
今回の研究結果について,同氏らは「集団レベルで塩分摂取量を1日5グラム減らすと,年間推定約125万人の脳卒中による死亡と約300万人の心血管疾患による死亡を回避できる」とした上で、「心血管疾患を予防するためには,集団レベルで塩分摂取量を減少させることが重要だと分かった」と結論した。
※メタ解析......過去に行われた複数の研究結果を合わせて解析し、より信頼性の高い結果を導く分析方法。メタアナリシス。
Medical Tribune紙 2010年1月21日号 掲載