【イエーテボリ】スウェーデン・イエテボリ大学のDeborah R. Gustafson教授らの新たな研究により,中年になってから腹部に脂肪が増えた女性では,高齢になって認知症を発症するリスクが2倍高くなることが明らかになった。詳細は米医学誌「Neurology」(2009; 73: 1559-1566)に発表された。
おなかが出ると認知症に?―スウェーデン研究
schedule 2011年08月05日 公開
心筋梗塞や脳卒中のリスクも高い
今回の試験は、1960年代末からイエテボリで実施された研究「Prospective Population Study of Women in Sweden」の参加者を追跡したもの。同研究は、38~60歳の女性約1,500人を対象に、健康とライフスタイルに関して調べた。
32年間の追跡調査の結果,161例が認知症を発症し、診断時の平均年齢は75歳だった。今回の試験から,中年期に腰周りよりおなか周り(腹囲)が大きかった女性では,高齢期以降に認知症を発症するリスクが2倍高くなることが明らかになった。しかし,BMI(肥満指数)が高いこととの関連は認められなかった。
今回の結果を受けて,Gustafson教授は「中年期に多くの脂肪を蓄えた女性では,心筋梗塞や脳卒中により早死にするリスクが上昇し,70歳以上まで生きることができたとしても,認知症リスクが高くなる」と結論付けている。
また「他の試験では,BMIが高いことと認知症の関連が示されているが,今回の試験では認められなかった。これは,今回の対象者に肥満と過体重(小太り)が比較的少なかったためかもしれない」と述べている。
Medical Tribune紙 2010年1月28日号 掲載

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