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喫煙で膀胱がんリスク5.5倍、過去10年で上昇―米研究

 2011年08月05日 10:38

 【英オックスフォード】米国立がん研究所(NCI)のDalsu Baris氏らは、米ニューハンプシャー州などの住民を対象とした研究の結果、喫煙者の膀胱がんリスクは1990年代半ばから上昇し、2001~04年では非喫煙者と比べて5.5倍になっていることが分かったと、米医学誌「Journal of the National Cancer Institute」(2009; 101: 1553-1561)に発表した。

低タール・ニコチンたばこの登場が一因

 今回の研究は、ニューハンプシャー、メーン、バーモントの各州保健局などが協力し、2001~04年に膀胱がんリスクと喫煙習慣の関連を検討したもの。喫煙による膀胱がんリスクの長期的な変化を検討するため、1994~98年と1998~01年にBaris氏らがニューハンプシャー州で実施した2件の研究結果と比較した。

 その結果、非喫煙者と比べた喫煙者の膀胱がんリスクは過去・現在ともに高く、非喫煙者との差は研究時期が後になるほど拡大した(1994~98年2.9倍、1998~01年4.2倍、2001~04年5.5倍)。

 同氏は、こうした経時的なリスク増大の一因として、煙の中にある発がん物質の経時的な変化、低タール・低ニコチンたばこの発売とその人気の高さを挙げている。低タール・低ニコチン製品に切り替えた喫煙者では、ニコチンに対する欲求を満たすために吸煙の深さと頻度が増したと考えられるという。

 同氏は「今回観察された喫煙と膀胱がんリスクの関連性は、これまでの研究で報告されていたものよりも強く、喫煙者の膀胱がんリスクは、男女ともに喫煙期間の長期化、吸煙強度や総喫煙量の増大に伴って大きく上昇した。追加分析では、喫煙本数が少なく長期間喫煙する方が、煙への総曝露量が同じでも、本数が多く短期間喫煙するのと比べ、膀胱がんリスクが高いとする、これまでの観察研究を支持する結果が得られた」と述べている。

 米サウスカロライナ医科大学のAnthony J. Alberg氏らは、同誌の付随論評(2009; 101: 1525-1526)で「膀胱がんと喫煙の関連を示す多くのエビデンス(証拠)が存在する状況を考えれば、今回の研究結果における最重要点は、1994~2004年にかけて両者の関連性が著しく強まったことだ」と指摘。さらに「今後は、たばこに含まれる添加物の影響を確認することが研究のポイントとなるだろう」と述べている。

Medical Tribune紙 2010年1月28日号 掲載

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