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テレビ視聴時間の半減で肥満を予防―米研究

 2011年08月05日 10:38

 【シカゴ】米バーモント大学のJennifer J. Otten氏(現スタンフォード大学)らは、3週間にわたって成人のテレビ視聴時間を強制的に半減させたところ、カロリー摂取量に大きな変化はなかったが、エネルギー消費量は増加したと米医学誌「Archives of Internal Medicine」(2009; 169: 2109-2115)に発表した。

「ロックアウトシステム」を導入

 Otten氏らによると、成人のテレビ視聴時間は1日平均約5時間。これまで、肥満の予防と減少に関しては食事と身体活動(日常生活上で行う運動)の改善に焦点が当てられてきたが、テレビ視聴に代表される"体を動かさない時間"を減らすという新たな戦略も検討されている。テレビの視聴時間を減らすことによって、活発な行動が増加するだけでなく、肥満との関連が示唆されている慢性的な睡眠不足も軽減する可能性がある。

 同氏らは、肥満指数(BMI)が25~50で1日のテレビ視聴が3時間以上の成人36人を対象に、ランダム化比較試験を行った。2008年1~7月に3週間の観察期間を設け、その間にテレビ視聴時間を毎日計測した。

 その後、被験者を(1)ロックアウトシステム(観察期間中に記録された視聴時間の50%となるよう1週間の視聴制限を設け、それに達するとテレビの電源が切られる仕組み)を導入した群(介入群、20人)(2)同システムを導入しない群(対照群、16人)―にランダムに割り付けて3週間追跡。身体活動量はアームバンドで測定した。

エネルギー消費量が増加

 その結果、介入群ではロックアウトシステム導入期間中に消費した1日当たりのエネルギーが観察期間と比べて119キロカロリー多かったのに対し、対照群では95キロカロリー少なかった。一方、エネルギー摂取量の低下は両群ともに見られたが、低下度はいずれも統計学的に有意ではなかった(介入群-125キロカロリー、対照群-38キロカロリー)。

 摂取カロリーから消費カロリーを引いたエネルギーバランスは、介入群では1日当たり-244キロカロリー、対照群では+157キロカロリーだった。しかし、統計学的には差がなかった。BMIに関しては、介入群でより減少した(介入群-0.25、対照群-0.06)。

子供は成人と異なる仕組み

 子供を対象とした過去の研究では、テレビの視聴時間を減らすことで摂取エネルギーは低下するが、消費エネルギーは増加しないことが示されており、今回の結果と照らし合わせると、成人と子供では異なる仕組みによってエネルギーのバランスが改善することが分かった。

 Otten氏らは、今回の研究について「テレビ視聴時間の減少による効果を成人で検討した研究は、おそらく初めてだろう。"体を動かさない時間"を減らした際に、成人と子供では異なる行動を取ることを示した。テレビの視聴時間については、成人における肥満の減少と予防という観点から、さらに調査を行うべきだ」と結論付けている。

※ランダム化比較試験......被験者を無作為に処置群と比較対照群に分け、効果を測定する研究手法。

Medical Tribune紙 2010年2月4日号 掲載

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