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子供時代の境遇が心臓病などのリスクに―ニュージーランド

 2011年08月05日 10:38

 【シカゴ】英ロンドン大学キングスカレッジのAndrea Danese氏らは、子供時代に虐待など精神的または社会的に恵まれない境遇にあった場合、情緒、免疫、代謝に異常が残る可能性があり、成人後に心臓病や糖尿病、認知症などの加齢に伴う病気(加齢性疾患)を発症しやすいというニュージーランドでの研究結果を、米医学誌「Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine」(2009; 163: 1135-1143)に発表した。

うつ病患者の3割に関与

 Danese氏らによると、喫煙、運動不足、偏食など修正可能な危険因子(リスクとなる要素)に対する介入を成人後から行っても、加齢性疾患を予防するには限界があり、一定の効果しか認められない。さらに近年では、子供時代にリスクにさらされると将来、加齢性疾患を発症しやすくなる変化が起こると考えられているという。

 同氏らは、1972年4月~73年3月にニュージーランドのダニーデンに生まれた子供1,037人を長期間、追跡調査した。最初の10年間で(1)社会経済的不利、(2)虐待、(3)社会的孤立―の3つの恵まれない境遇について評価し、32歳になった時点で(1)うつ病、(2)炎症レベルの上昇(血液中の炎症マーカーとしてC反応性タンパク=CRPを測定)、(3)高血圧、コレステロール異常値、過体重(小太り)など代謝性危険因子の集積―など加齢性疾患に関する3つの危険因子の有無について検討した。

 その結果、子供時代に恵まれない境遇を経験した人は、32歳時点でうつ病発症、炎症レベル上昇、代謝性危険因子の集積などのリスクが高かった。同氏らの推定では、うつ病の31.6%、炎症レベル上昇の13%、代謝性危険因子集積の32.2%は、子供時代の恵まれない境遇が原因になっている可能性があるという。

 同氏らは「加齢性疾患の発症につながる変化は、既に子供時代に始まっていると長年言われてきた。そのため、子供には子供時代から健全な精神的・社会的経験を促すことが、以後の加齢に伴う疾患の予防につながる」と説明している。

Medical Tribune紙 2010年2月4日号 掲載

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