メタボリックシンドロームを防ぐ!
2011年08月10日 10:44
複数の生活習慣病を併せ持つメタボリックシンドロームの広がりが心配されている。その前提となるのが肥満。千葉大学医学部付属病院の齋藤康院長(内科学)は「肥満は子供のころからの予防が大切。子供の肥満は、成人まで引きずる率が高いのです」と話す。
動脈硬化起こす
メタボリックシンドロームは、肥満(おなかの周りが男性85センチ、女性90センチ以上)に加えて、(1)高脂血症(中性脂肪が血清1デシリットル当たり150ミリグラム以上か、"善玉"といわれるHDLコレステロールが同40ミリグラム未満)、(2)高血圧(収縮期=最大=血圧が130ミリメートルHg以上か、拡張期=最小=血圧が85ミリメートルHg以上)、(3)糖尿病(空腹時血糖値が血液1デシリットル当たり110ミリグラム以上)―のうちの2つ以上を併せ持つ状態。
「メタボリックシンドロームが怖いのは、個々の要素は軽症でも、重複して持つために動脈硬化を起こしやすくなることです」と齋藤院長。
過食と運動不足が原因
齋藤院長らは、1979~84年に小・中学生で、肥満(平均体重を20%以上上回る)と判定された千葉県館山市在住の80人(18~26歳)を対象に、はがきによるアンケート調査を実施(回答率71%)。その結果、男性の59%、女性の64%が肥満のまま推移していた。
メタボリックシンドロームでは、動脈硬化を起こすことによって、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの疾患の発症率が高まる。
同院長は「肥満の小・中学生では、高血圧や高脂血症の割合が高いことも分かっています。肥満の主な原因は過食と運動不足です。成人の肥満を少なくするためにも、小・中学校で『健康教育』を取り入れるべきではないでしょうか」と話している。
2006年9月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)