顔の青あざ―レーザーでほぼ100%治療可能
2011年08月10日 10:44
顔のあざに悩む人は多いが、その代表例が「太田母斑」。一般には「青あざ」と言われ、日本人の間では1,000人に数人の割合で見られるという。かつては治療が難しい病気とされていたが、最近はレーザー治療が進歩、非常に優れた効果が得られるようになった。
シミと混同する人も
太田母斑は、先天性の顔の青あざ。東京女子医科大学付属第二病院形成外科の若松信吾教授によると、その発症時期には大きく2つのピークがあるという。「生後数カ月で出るケースと、思春期前に発症するケースです。いずれも女性に多く、目の周囲、額、頬といった三叉(さんさ)神経の支配領域に生じます。顔の両側にできることもありますが、片側だけの方が多いのです」
発症の仕方も、(1)最初は薄い斑点から始まって広がる、(2)初めから広がって生じる―の2通りがある。中には、青あざが小さいのでシミと間違えている人もいる。
「わたしたちの施設では、シミを取りたくて受診した女性の10~15%に青あざが認められます。かつては決め手となる治療法がなく、あきらめていた人もいますが、最近はレーザー治療によってほぼ100%治療可能になっています」(同教授)
日焼けを避けて
青あざの治療に用いられるレーザーは、瞬時に強力なエネルギーを照射できるQスイッチレーザー。「青あざになっているメラニン色素の顆粒(かりゅう)を、ポップコーンをはじけさせるように破壊するのです。ただし、レーザーの照射には痛みを伴うので、治療は子供の場合、全身麻酔をした上で行います」(若松教授)
このため、1度の治療に2泊3日の入院を要する。それを3カ月に1度の割合で、少なくとも10回は照射する必要がある。
「治るまで、通常は3年ほどかかります。その間、日常生活では日焼けを避けることが大切です」(同教授)。日焼けすると、皮膚に膜が張ったようになり、レーザーが患部に届きにくくなるからだ。
根気よく治療する必要はあるが、青あざで悩んでいる人は形成外科を受診して相談してみるとよい。このレーザー治療には健康保険が適用される。
2003年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)