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若者に多い「睡眠相後退症候群」

 2011年08月11日 10:44

 ライフスタイルの変化に伴い、宵っ張りの朝寝坊が増えているが、日常生活に差し支える場合は、「睡眠相後退症候群」という睡眠障害かもしれない。睡眠リズムのずれによって起こる病気で、夏休みの不規則な生活などがきっかけになりやすい。

社会に適応できない

 睡眠相後退症候群について、国立精神・神経センター(東京都)の高橋清久名誉総長は「体内時計のずれによって睡眠を取る時間が遅れてしまい、夜はなかなか寝付けず、朝は起きられない。本人は早寝早起きを心掛けるのですが、どうしても起きられないのです。このため社会適応ができず、周りの人からは意志の弱さを指摘され、自己嫌悪に陥ることもあります」と説明する。

 この病気に悩む人は、全国で10万人から100万人はいると推定されている。それも、10歳代後半から20歳代前半の若い人に多い。

 「もともと朝に弱い人が、入学や就職で以前より早く起きなくてはならない、あるいは徹夜が続くなど、生活リズムの崩れをきっかけに発症しやすいのです。いずれにせよ、症状に気付いたときは、睡眠外来のある病院や専門医のいる精神科の受診を勧めます」(同名誉総長)

光を浴びてリセット

 治療は、まず時間療法とともに、光に対する感受性を高める働きのあるビタミンB12が用いられる。

 「時間療法は毎晩、眠くなるまで寝ないようにし、就寝時間を遅らせていきます。適度な時間に起床し、睡眠時間帯をずらしていき、社会に適応できる時間帯になったところで固定するのです。改善されない場合は、毎朝30分から2時間ほど、2,500~3,000ルクスの光を浴びる光療法を行います。それによって体内時計を、早寝早起きのリズムにリセットするのです」(高橋名誉教授)

 照度は、家庭で用いる電灯よりもかなり強いが、太陽の光よりは弱い。「光療法は、レンタルの装置もあるので自宅でできます。また、晴れた日は自然光を利用するのもよいでしょう」(同名誉教授)

 こうした光療法を自宅で行うには、家族の協力が欠かせない。このほか、朝食を規則正しく取り、日中は適度の運動をするようにと、同名誉総長はアドバイスしている。

2003年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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